SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-KA7ESの修理依頼をいただきました。
30年ほど前に2・3度、修理歴があるということですが、
現状は、トレイ開閉はできるものの、再生不可の状態です。また、以前動作していた時は、音のゆらぎが気になっていたということです。
テープをセットすると、ドルビーの表示がBとCが勝手にチラチラと切り替わります。スイッチの接触不良です。
カバーを開けてメカを取り出します。
ホルダーと化粧パネルを取り外します。
組み付け時に備え、調整式になっている左側のピンチローラーアームの位置を測定しておきます。21.5mmになっていますが、製造時から少し手前に移動しているようです。
ピンチローラーアームとアイドラーを取り外します。
ピンチローラーを交換します。
キャプスタンモーターユニットを引き抜きます。
ピンチローラーアームを取り付けるシャフトが簡単に抜けてしまいました。そのため、ピンチローラーの位置が手前にズレて、テープ走行が不安定になり、音がゆらいでいたと考えられます。抜け止めの処置を施して、元の位置まで差し込みます。
モーターユニットを分解します。
基板上の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトに交換し組み立てます。
メカフロント部を分解します。
ゴムベルトに油分が浸み出しています。
ベルトの掛かるプーリーを脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
本体に戻して動作確認を行います。
接触不良となっていたドルビー切替スイッチにアクセスして、スイッチの隙間から接点復活剤を処置します。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内に収まっていることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。