A&D製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、GX-Z7100EXの修理依頼をいただきました。
3か月ほど前から、リッドが勝手に開くという不具合が発生し、使用ができない状況ということです。
電源を入れると、5秒間ほどモーター音が鳴り、その後停止します。リッドは開きませんでしたが、使用できないことに変わりありません。
カバーを開けます。ケーブルをつなぎ直した形跡や、基板の固定ビスの締め忘れがあります。過去にコントロール基板の交換が行われたようです。
カムモーターも代替品に交換されています。
プーリーを指で回してトレイを開き、リッドを取り外します。
メカを降ろして分解を進めます。
カセットホルダーを分解します。
ホルダー内蔵の樹脂製バネが変形しています。
脱着して加熱整形します。
ヘッド周りの可動パーツを分解します。固まりかけているグリスは拭き取って再グリスします。
ピンチローラーを交換します。
リールとアイドラーを取り外します。
アイドラーゴムを交換します。
ゴムリングが接する面がヤスリ?で荒らされています。おそらくスリップを回避するために処置されたものと思われます。
左側リールはバックテンション用のブレーキパッドが接しますので、この状況では回転ムラが発生する恐れがあります。手持ちのスペア品(写真左)と交換します。
ブレーキパッドを張り替えます。
モーター基板を取り外します。
質の悪いベルト(手前側)が用いられていましたので交換します。
モードベルトは極細のベルト2本掛けでした。先ほどのヤスリ掛けもそうですが、以前も同じ処置を見たことがありますので、同じ方が修理されたのでしょうか?
新しいベルトに交換します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
元通りに組み立てます。
本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
録再テストを行います。
リッドの裏側の突起部が削られています。開閉に不具合があって処置されたのでしょうか?今となっては知る由もありません。
以上修理完了です。