SONY製2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、TC-K65の修理依頼をいただきました。
数日前から操作ボタンに反応しなくなったということです。
電源は入りますが、まったく反応はありません。
キャプスタンは回転しています。
コントロール回路の故障が疑われますので、点検を行います。
サービスマニュアルを見ながら、各操作ボタンを押した時のコントロールICの端子電圧を確認します。操作ボタンを押してもICから信号が出力されない状況です。
コントロールICの故障でしょうか?そうであれば部品単体での入手はできませんので、ジャンク機を入手してパーツを移植することになります。オーナー様におおむねの見積額をお知らせし、ジャンク機の手配を行います。
3日ほど要しましたが、ジャンク機が手に入りましたので、早速ICを移植します。しかし、残念ながら当ては外れました。
残るはこれです。サービズマニュアルに詳しい記述はありませんが、おそらく、電源をONにした際に、数秒間ミュートするICです。
動きました。ICが故障してミュートが解除されない状態だったようです。
操作パネルに浮きが見られます。
フロントパネルを取り外します。化粧パネルを接着固定します。
接着後です。
再生時の巻き取りトルクや、早送り巻き戻しの状況は良好です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
最後に少し長めの再生テストを行っているときに、突然、「ガチャン」といって停止してしまいました。何が起きたのかわかりませんので、とりあえず操作ボタンを押しましたが、ヘッドは一瞬上がるものの、すぐに停止します。しかし、少し時間を置くと、正常に戻りました。その後テストを継続しましたが、同じ状況が不定期に発生します。これは困りました。
オーナー様にその旨お伝えしましたが、以前はそのような症状はなかったということです。
何日か悩みましたが、最も疑わしいのは、最初に交換したメインICです。元々付けられていたものに戻します。交換後は3日ほど様子を見ましたが、症状は発生しなくなりました。
録再テストを経て、修理完了です。