ケンウッド製2ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、KX-880Dの修理依頼をいただきました。
数年ぶりに使用したところ、故障していたということです。
テープ走行しますが、音が出ません。レベルメーターも振れません。LINE入力も同様です。
カバーを開けて点検を進めます。
少し前に当店で修理した、片CHの音が出ない880Dは、この再生アンプの故障でした。
やはり同じ箇所が故障していました。100μF10Vの電解コンデンサーを交換します。しかし、依然として音は出ませんので、他の箇所も故障しているようです。
オーディオ回路に電源を供給している回路を点検すると、470μF10Vが故障していました。
この機種は、底板のみを取り外すことができませんので少し厄介です。故障していた同じタイプのコンデンサー全てを交換します。・・・しかし依然として音が出ません。
交換したコンデンサーのすぐ近くにある、7.5Vラインのトランジスタが故障していました。
2SC1740です。同等品の2SC1815と交換します。
ようやく音が出ました。結局これだけのパーツを交換しました。長期間使用しない間に、電解コンデンサーが寿命を迎え、それが原因で過電流となり周辺のトランジスタも故障したということになります。電解コンデンサーは意外と長寿命ですが、メーカーや製造ロットなどによっては、短命なものも存在します。
メカのメンテナンスを行います。
カセットホルダーと化粧パネルを取り外します。
ピンチローラーを交換します。
コントロールモーターユニットを取り外します。
スイッチ接点を磨きます。
コントロールモーターとリールモーターを長時間空転させ、内部接点の接触改善を図ります。
キャプスタンとヘッドをクリーニングします。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
カセット検出スイッチの接点を磨きます。
本体に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。