PIONEER製DATデッキ、D-07Aの修理依頼をいただきました。
3年前に突然音が出なくなって、以降そのままの状態ということです。
テープ走行はしますが、読み取りができません。一番疑わしいのは、ヘッドの信号を処理するRFユニットの故障ですが、通常は完全に音が出なくなり前にノイズが発生するなどの前兆があります。
カバーを開けてメカを取り出します。
RFユニットは、メカ後部に搭載されています。
22μFの電解コンデンサーの端子が黒く腐食していますので、液漏れが発生しています。
それ以外の電解コンデンサーもすべて交換します。
これでひとまずは音が出ました。
この機種では、それ以外に大きく2点のメンテナンスが必要です。まずは、リッドの開閉です。化粧パネルが浮いて、フロントパネルと擦れています。これが進行すると、リッドが開きにくくなったり、最悪の場合はリッドが外れてしまったりします。
隙間に接着剤を充填し、クリップで挟んで一晩待ちます。
隙間が無くなり、引っ掛かりなく開閉するようになりました。
しかし、開くときに一瞬タイムラグがあります。
原因はここです。リッドの裏側にはクッション材が貼られていますが、性状の変質によりベタベタしています。そのため、閉まった状態ではフロントパネルに張り付いて、開くときの抵抗となります。予防処置をして、シリコングリスを表面に塗布します。
再度メカを降ろしてメカ本体とインストレーションユニットを切り離します。
表間にテカりが見られるピンチローラーを脱着して、表面を軽く研磨し、専用クリーナーで処理しました。
指先のカートリッジ検出スイッチに接点復活剤を処置します。
メカ本体を裏返したところです。
メカをコントロールするロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
可動式テープガイドを駆動するパワーモーターです。常に同じところを行ったり来たりするこういったモーターは、内部接点の接触不良が起きやすいため、無負荷状態で空転させて接点のケアを行います。
メカを元に戻して動作確認を行います。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。