SONYのTC-KAESです。
ヘッドは上がるものの、リールが回転しないため再生できないということです。ただし、早送りを行った後は正常に動作することもあるということですので、非常に珍しい状況です。ただし、発送前には正常に動作するようになっていたということです。
当店の動作テストでも正常に作動しました。一体何が原因だったのでしょうか?
カバーを開けます。
メカの点検を行ったところ、人為的なものと思われますが、白色のコネクタが半刺しになっていましたので、これが原因だったのでしょうか?アンプなどで接触不良が原因で片側の出力が小さいときに、VOLを上げると正常に戻ることがありますが、同じように、早送り時にリールモーターに強めの電流が流れ、一時的に接触が改善されたという可能性がありますが、これは検証のしようがありません。
メカを降ろします。
指先には小さなコネクタが取り付けられていますが、
いずれも半田クラックが発生してます。コネクタはロックが掛かっていますので、特にこういった小さなコネクタを引き抜くときは注意が必要ですが、前修理者が無理に引っ張ったことが原因と思われます。再半田します。
分解を進めます。
ピンチローラーを交換します。
キャプスタンモーターユニットを引き抜きます。
モーターユニットを分解します。
基板面の電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカフロント部を分解します。
ベルトの掛かるプーリーを脱脂します。
新しいベルトに交換します。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の点検を行います。314-316程度が望ましいのですが、使用には差し支えの無い程度です。(クオーツロック機は調整ができません)
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。