一昨年に当店で修理したXK-009に関する件です。
3週間ほど前の話ですが、トレイが開かなくなったということで、再修理を行うこととなりました。
イジェクトボタンを押しても、ロックが掛かっているため開きません。
カバーを開けて点検を行います。その結果、トレイが開かない原因は、ヘッドが上がりっぱなしになっていたためでした。しかし、ヘッドを下げるためには、メカを取り出さなければならず、そのためにはリッドを取り外さなければなりません。トレイが開かない状況でリッドを取り外すためには、リッドを破壊するしかないため、手も足も出せない状況となり、結果として修理不可と判断し、その時はそのままオーナー様にお返ししました。
ここからが今回の修理の記事になります。後日、オーナー様自らリッドを取り外したということで、再再修理にチャレンジすることとなりました。また、本体に衝撃を与えるとヘッドが下がるという情報もいただきました。
当店に到着した時点では、なぜか正常に動作しました。
しかし、何度か操作を繰り返しているうちに、やはりヘッドが下がらなくなってしまいました。
メカを取り出しました。
分解を進めます。なぜヘッドが下がらないのでしょうか?
指で触っているのは、ヘッドを上下動するカムギヤですが、ヘッドが下がる時に抵抗感があり、そこで引っ掛かります。
ヘッドを持ち上げるピンとの間の摩擦が原因のようでしたので、脱着して、関係する箇所にシリコングリスを処置します。
引っ掛かりは無くなり、ヘッドが所定の位置まで下がるようになりました。
リールの動きが不安定でしたので、再生用のアイドラーゴムを交換します。
速度の点検、
ヘッドアジマスの点検、
キャリブレーションの動作と録再バランスの点検、
実際の録音状況を確認し、修理完了です。