かなり久しぶりのXK-S7000です。
6年前に故障したものの、依頼した電器店に「修理できない」と断られ、現在に至るということです。
電動トレイが開きません。モーター音は聞こえます。
カバーを開けました。本来付いているはずのネジが欠落していたり、他のネジが付いていたりと、修理を試みた形跡が見られます。
AMTSのカムギヤを回してトレイを開け、リッドを取り外します。
カムギヤに溶けたベルトが付着しています。
AIWA製品では、この機種のようにヘッドの配線が基板直付けになっていることが多く、その場合は底板を取り外して半田付けされている箇所を切り離す必要があります。
メカを降ろしました。XK-S9000との大きな違いは、指差ししている箇所に再生専用のユニットが無いことです。つまり、リールの回転については、早送り巻き戻しと再生は同じユニットが行います。ただし、ほとんどの機種でこのシステムが採用されています。
モーターや照明用の配線は予め切り離しておくと作業が楽になります。
カセットホルダーを取り外します。
AMTSユニットを切り離します。
これがAMTSユニットです。同じAIWAのXK-009はソレノイドで駆動されますが、こちらはカムギヤで駆動されます。
ベルトが溶けてプーリーに付着しています。
分解します。
カムギヤを取り外します。ベタベタになっていますので、
綺麗に清掃し、
新しいベルトを取り付けます。
モータープレートを取り外します。
新しいベルトに交換します。
キャプスタンとピンチローラーを清掃します。
アイドラーゴムを交換します。
カムギヤを回して、トレイ開閉が正常に動作することを確認します。
本体に組み込んで動作確認を行います。
基板面が汚れています。電解コンデンサーが液漏れしていましたので交換します。
ここで新たな問題が発覚しました。電源ONにした直後に録音すると、RCHが無音です。
ただし、少し経つと正常に復旧し、その後は正常に動作します。しかし、電源を切って時間を置くと再発します。SOURCEに切り替えると正常ですので、REC-AMP回路に不具合があることがわかります。
時間の経過により正常に戻る、ということですぐに思いつく原因は温度変化です。その影響を受けるのは、劣化した電解コンデンサーと接触不良です。まずは、REC-AMP周りの電解コンデンサーを交換しましたが、状況は変わりませんでした。ということは接触不良でしょうか?しかし、スイッチやケーブルの接触不良ではないようです。
どこに異状があるのかを探るため、INPUTにサイン波を入力し、オシロスコープでその信号を追っていきます。すると、オペアンプ(IC)の前後で異状が見られました。
M5218PというXK-S9000とは違うタイプのものが使用されています。
丁度、手持ち品にXK-S9000と同じJRC4560Dという高音質タイプのICがありましたので、それと交換し、無事、不具合は解消されました。おそらくIC内部の接触に問題があり、通電による加熱で接触が回復するといった状態だったものと推測されます。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
録音状況を耳で確認し、修理完了です。