少し前に当店をご利用になった方から、新たなご依頼をいただきました。
SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K777です。今年の8月に整備済み品として購入されたという機器ですが、ひと月ほどで「テープが引き出された状態で途中停止する。」という症状が現れ、遂にはまったく走行不可になったということです。
購入して間もない機器でしたので、販売元での対応ができないかお聞きしましたが、購入後の不具合については、ノークレームノーリターンが条件ということでしたので、当店の出番となりました。
再生ボタンを押すと、ヘッドは上がり、キャプスタンでテープは送られますが、右側のリールが回転しないためすぐに停止します。
早送り巻き戻しは、操作ボタンにメカの反応はありますが、リールが回転しません。
カバーを開けて目視点検します。
指先がリールモーターです。この機種のリールモーターは、ブラシレスタイプですので、コイルと磁石のほか、コイルに流れる電流を制御する回路で構成されています。
モーターシャフトを指で回してやるとガクガクしながら動き出しますが、すぐに停止します。ガクガクというのは、コイルに流れる電流制御に問題があって、マグネットの磁力と上手く噛み合っていない状態のように感じます。また、停止状態にも関わらず、不定期に勝手に回り出すことがあります。以上から、制御回路に故障があると考えられます。
回路図を確認し、故障しやすそうなパーツがないか探します。
機体の左側面に取り付けられている基板が、キャプスタンモーターとリールモーターの制御回路です。
見るからに怪しげなICを発見しました。リールモーターのドライバーICです。
端子が酸化して真っ黒です。これが内部にまで浸透してショートなどの悪さをしている可能性があります。
手持ち品と交換します。JRC4558Dです。
無事、正常な状態に復帰しました。
事前にお話のあった、外れてしまったスイッチカバーは接着処置を行います。
以上修理完了です。