以前、当店をご利用になった方から、今回はLo-D社製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、D-1100MBの修理依頼をいただきました。
右CHの出力が無い状況です。また、90分以上の長尺のテープは傷が付く等することがあるということです。
カバーを開けます。サイン波の記録されたテープを再生し、回路図に基づき信号をオシロスコープで追っていきます。
ヘッド直後のプリアンプ部に故障があることがわかりました。トランジスタは正常でしたので、ICが故障しているようです。早速部品を発注します。
続いて、テープ走行の不具合について点検します。ミラーカセットで走行状態を目視点検すると、左側のテープガイドと消去ヘッドの間でわずかにテープの歪みが発生していることがわかりました。
バックテンションまたはテープパスの問題と思われますが、いずれも調整できない仕様となっていますので、これではお手上げです。
3日ほどでICが到着しました。早速交換を行いましたが、状況は変わりませんでした。・・・と思ったら、
少し経つと正常に出力されるようになりました。しかし、一旦電源を切って、再度電源をONにすると、0.5秒~3秒程、左CHに遅れて右CHの音が出るといった状態になります。使用するにはそれほど差し支えは無いとは思いますが、あまり気分の良いものではありません。
時間に関係する不具合と言えば、電解コンデンサーの劣化が思い浮かびますので、プリアンプ部の赤ペンで印をつけた電解コンデンサーを交換します。
ひとつずつ交換していきます。最後の最後、指差ししている電解コンデンサーを交換したとことろ、不具合は無事解消されました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。