DIY修理された機器には思わぬ落とし穴が待っていることが多々あります。
今回の修理は、少し前に当店をご利用になった方からの新たなご依頼です。最近購入されたという2機種の修理依頼ですが、いずれも不動品です。1台目はSONYのTC-K222ESLです。もう1台はナカミチ481ですが、こちらは後日記事にしたいと思います。
この機種は、左側のピンチローラーのコア部分が傷んでいるケースが多いのですが、既に交換されているようです。
再生は、ヘッドが上がらず走行不可、早送り巻き戻しはOKです。
カバーを開けてメカを取り出します。
分解を進めます。
さらに分解していきます。
キャプスタンモーターユニットを分解します。
雑に取り付けられている電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
フロント部分を分解します。
プーリーを脱脂して新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。
オートセレクタ用スイッチ接点を磨きます。ここまではいつもどおりでしたが、
メカを本体に組み付けて動作テストを行うと、ヘッドは上がるのですが、ピンチローラーが上がりません。なぜでしょうか?また、キャプスタンモーターが回転しません。
モーターは、基板が故障していましたので、基板ごと交換します。(後日、電解コンデンサー液漏れによる絶縁が原因とわかりました)
ピンチローラーが上がらない原因を突き止めます。摘まんでいる白色のバーが動かないため、ピンチローラーアームが引っ掛かっていることがわかりました。
原因は、このカムギヤの組み付けミスでした。以前DIYされた方が誤って組み付けてしまったようです。不動になったため、そのまま処分したのでしょうか?
こういったカムギヤは、組み付けが難しいため、よほどの理由が無い限り脱着してはいけません。この件で、かなり迷走しタイムロスしてしまいました。
動作音出しはOKとなりました。しかし音がかなり籠っています。
また、モニター切替スイッチの反応がイマイチです。
さらには入出力端子に接触不良が見られます。
基板を取り外します。
半田クラックがある箇所と、ついでですので起きやすい箇所も再半田します。
フロントパネルを取り外し、スイッチ基板を取り出します。
操作スイッチは一度すべて交換された形跡があります。接触の悪いモニター切り替えスイッチを交換します。
点検調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内に収まっていることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。かなりの狂いがありましたので、音が籠りはこれが原因だったようです。もちろん人為的なものと思われます。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
録再状況を確認し、修理完了です。