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TC-K555ES

SONY TC-K555ES リールモータートラブル・組み付けミスほか

投稿日:

SONYのTC-K555ESです。

再生と早送りができないということです。巻き戻しはできるということですので、非常に珍しい症状と言えます。

キャプスタンモーターは回転していますが、「シャリシャリ・・・」という、何かに擦れている音が気になります。

トレイを開きました。珍しくロケットオープンではありませんでしたので、以前に対策が取られたと思われます。

再生を開始しましたが、リールが回らないためすぐに停止し、テープが引き出されてしまいます。

当店のテストでは巻き戻しもNGです。リールモーターが回転する音が聞こえてきませんので、モータードライブ回路の故障でしょうか?

内部を点検しているときに異状があることに気がつきました。放熱板に取り付けられているトランジスタが浮いています。

トランジスタを固定している樹脂製のビスが折れています。一番右側は、リールモーター関連のトランジスタですので、オーバーヒートで故障したのかと思い、脱着して点検しましたが正常でした。

折れたビスを除去し、新品のビスで固定します。

回路図とにらめっこしながら点検を進めると、先ほどのトランジスタを保護するヒューズ抵抗が絶縁していることがわかりました。

早速交換します。4.7Ω1/4Wです。

リールモーターが回転するようになりましたが、回ったり止まったりと動作がかなり不安定です。あれこれとやっているうちに、再度不動となってしまいました。点検すると先ほど交換したばかりのヒューズ抵抗が切れていました。ということは、ほかに不具合箇所があって、過電流状態になっているということですが、それを見つけるのは簡単ではありません。どうしようかと悩んでいるときに、以前、同型機を寄贈していただいたことを思い出しました。その機器とコントロール基板ごと交換すれば、回復する可能性は高いと思われます。

しかし、この機体には、他にも問題を抱えています。ノーマルポジション以外のボタンを押すことができません。押してもロックされず戻ってしまいます。このままではノーマルテープ専用機になってしまいます。

以上の経緯と修理する場合の費用をオーナー様にお知らせし、指示を仰ぎます。

翌朝になりました。オーナー様からは、ノーマルテープ専用機でも問題無いとのご連絡をいただきましたが、ひとつあることを思い出しました。以前、他の機種になりますが、モーターの内部接点の接触不良が原因で、過電流が起こってモーターがかなり発熱したということです。昨日、一度モーターが回転したときに、回転が非常に不安定だったのは、モーターが原因だったのかもしれません。

ということで、モーターに直接電圧を加え、一時間ほど回転させて内部接点をリフレッシュし、その後、ヒューズ抵抗を再度交換し、テープをセットして動作確認を行うことにしました。

予想は的中しました。再生も早送りも巻き戻しも動作するようになりました。

しかし、早送り中に停止すると、リールが少しの間、回転し続けるためテープが弛んでしまいます。ブレーキが効かないためですので、メカ内部にトラブルを抱えているようです。

メカを降ろして整備を行います。

化粧パネルを取り外します。裏には、照明兼、回転センサーに光を導くプリズムが取り付けられています。

ここが曇ると、光センサーに十分な光が到達しなくなって誤作動するため、表面を磨きます。

指先がリールにブレーキを掛けるためのソレノイドです。

押し下げるとブレーキが解除される仕組みですが、そもそもブレーキが解除されっぱなしです。なぜでしょうか?

BSLモーター、プレートを取り外します。

フライホイールも取り外します。シャリシャリ音は、キャプスタンのワッシャーの取り付け忘れが原因でした。以前分解された方のミスです。

モーターユニットも取り外します。写真中央の白色の部品がブレーキ関連のパーツですが、まったく動くことができません。

原因は、ブレーキを押し下げるためのスプリングが他の箇所に掛けられていたためですので、正規の位置に戻します。これも前修理者のミスです。

カセットホルダーを取り外し、左右リールを分解してグリスアップします。

光センサーの表面を清掃します。

スベスベになっているキャプスタンベルトは新品交換します。

硬化しているピンチローラーを交換します。

元に戻して動作確認を行います。動作良好です。もちろん、異音も解消されました。

点検調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。

315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。

ヘッドアジマスの調整を行います。

ここで新たな問題が発生しました。左CHの録音レベルが低く、調整では対応しきれません。

試しに録音ヘッドのコネクタを逆刺しましたが、状況は変わりませんでしたので、ヘッドの性能低下が原因ということになります。その旨オーナー様にお知らせし、

今回の修理はここまでとなります。

 

 

 

-TC-K555ES
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