A&D製オートリバースカセットデッキ、GX-R65CXの修理依頼をいただきました。
故障してから10年ほど経過しているということです。
トレイが開きっぱなしで、操作ボタンにはまったく反応がありません。この状況は過去に何度も経験しています。
キャプスタンは回転しています。
カバーを開けます。
このメカは、リールモーターがトレイ開閉も担っています。そのため、トレイ開閉時は、白色の細長いギヤユニットが左右にスライドする仕組みになっていますが、そのギヤが固着して動くことができないことが不具合の原因と考えられるため、ドライバーでこじってやります。
これでトレイも閉まり、テープ走行も可能になりました。先ほどのギヤの可動部にはグリスを処置しておきます。
しかし、ほかにも不具合がいくつか見られます。テープポジション表示がチラチラと点滅します。
スライドVOLにガリが発生しています。
フロントパネルを取り外し、スライドVOLに接点復活剤を処置します。
メカを取り出して、このメカのウィークポイントのメンテナンスを行います。
オートセレクタなど、種検知スイッチの接点を磨きます。
カセットホルダーを取り外します。
ホルダーには、カセットを押さえ付けるバネが内蔵されていますが、長年の使用により変形しています。
バネを脱着して加熱整形します。
機能が回復しました。
ピンチローラーアームを取り外します。硬化しているゴムローラーを交換します。
リール周りのパーツを分解します。
リールを回転させるためのアイドラーにひび割れが生じています。このまま放置しておくと、シャフトが抜け出してリールが回転しなくなります。
分解してシャフトを接着固定します。
メカを元に戻して動作確認を行います。アイドラーが割れて偏心していますので、リール回転時に小さく「コトコト・・」という音がすることがありますが、これは仕方ありません。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
ヘッドのアジマス調整を行います。フォワードとリバースの両方向で行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。