SONY社製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESXの修理依頼をいただきました。
オーナー様は、少し前にこの機器を入手されたということですが、若干の不具合が見られたため、オークションで修理を出品している方に整備調整を依頼したということです。
しかし、メンテナンス後に音揺れが発生することがわかり、再修理を依頼したものの、「許容範囲内」とけんもほろろに扱われたということで当店の出番となりました。
動作テストを行います。315Hzのサイン波を録音再生モニターします。
まずはテープの巻き始めです。音揺れはほとんど感じませんので、これは、許容範囲内と言ってもいいですが、
テープの巻き終わり辺りでは明らかな音揺れが発生します。これでは使用に差し支えますので許容範囲外です。
テープの終盤での音揺れは、バックテンションの問題であることがほとんどです。トルクメーターで測定すると、予想通り標準よりも強めの値になっています。テープデッキでは、巻き始めと巻き終わりでは、テープの巻かれている量によって、リールの中心部との距離の関係からテンションが変化しますので、テープ終盤ではバックテンションの影響を受けやすくなるという欠点を有しています。
メカを降ろしてトレイと化粧パネルを取り外します。
白いレバーはバックテンション用ですが、強さを調整するスプリングは最も弱い位置に調整されていますので、これ以上調整はできません。
バックテンション用のパッドが変質して摩擦係数が高くなっていますので張り替えます。
音揺れは大幅に改善されました。計測器で測定すると、テープデッキの特性上、やはり巻き始めに比べると巻き終わりでは数値的には劣りますが、耳ではほとんどわからないレベルです。
以上修理完了です。