1年ほど前に当店でモードベルトの交換を行ったDTC-ZA5ESです。
再生不可になったということです。
カートリッジ(カセット)をセットしましたが、テープローディングが終わった後の「カチ」という音に違和感があります。ピンチローラーをキャプスタンに押し付けるソレノイドの動作に問題があるようです。
カバーを開けて目視点検を行います。再生を開始すると、ソレノイドが一瞬動きますが、すぐに元に戻ってしまうため再生できません。回路の故障でしょうか?
もう一つ問題があります。何故かイジェクトできなくなってしまいました。
メカを降ろします。
底面の基板を取り外します。
キャプスタンモーターやリールモーター、MD基板などを手持ちのスペア品と交換しましたが、症状は変わりません。
回路図を参照しながら点検を進めます。すると、ソレノイドのドライブ回路に電圧を供給している電源ラインのヒューズ抵抗が絶縁していることが判明しました。
基板を脱着してパーツ交換を行います。0.22Ωという非常に珍しいタイプです。
これで再生は可能になりましたが、やはりイジェクトに難があります。手動でトレイを開けたすぐ後は開閉可能になりますが、カートリッジを一旦セットすると開くことができなくなるという不思議な症状です。
時間が掛かりましたが、見つけました。指先にあるのは、テープガイドが停止位置に戻ったことを検知するスイッチですが、ここに不具合がありました。
テープガイドが下がると、レバーによって、白色のパーツが持ち上げられてスイッチがONになり、トレイが開く準備ができたということをシステムが認識しますが、ほんのわずかというところでONになりません。そのためトレイが開くことができません。摩耗や変形が原因でしょうか?
少し分かりにくいかもしれませんが、スイッチがONになるように、薄いいゴム板を挟みます。
カートリッジをセットした後も正常に開閉可能になりました。
以上、修理完了です。