SONY製オートリースデッキ、TC-RX715です。今回は修理中に思わぬトラブルに遭遇しました。
ご覧のとおり、トレイが開きっぱなしです。
RECVOLツマミがグラグラしています。固定ナットが緩んでいましたので締め直します。
メカを降ろして分解を進めます。
ピンチローラーアームを脱着してゴムローラーを交換します。このタイプは、ゴムの劣化よりもコア部分に使用されている充填剤の抜けによる偏心が問題です。
背面のモータープレートを取り外します。
キャプスタンベルトが溶けていますので、綺麗に清掃します。
モーターユニットを取り外します。
ヘッドの上下動などを駆動するベルト(左)が伸びていますので交換します。
ベルトの掛かるプーリーを脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外して分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタ用スイッチ接点を磨きます。
新しいキャプスタンベルトを掛けて組み立てます。オートリバース機ですので掛け方に注意です。
本体に組み込んで動作確認を行います。もちろん快調に動作しましたが、ちょうど夕方になりましたので、調整等は翌日に行うことにしました。ここまでは順調でしたが・・・
翌朝になりました。電源をONにして、再生ボタンを押しましたが、一瞬メカは反応するものの、リールが回転しないためテープ走行しません。早送りも巻き戻しも動きません。これまで300台以上同様のメカニズムを見てきましたが、今までに経験したことのない状態です。昨晩までは正常に動作していましたので、コントロール回路の故障?ということが頭をよぎりました。そうなると修理は困難です。
とりあえず再度分解し、点検を行います。ロータリーエンコーダーの再メンテナンスを行い、各種スイッチ類の導通状況などを確認しましたが異状はありません。
ところが、「ここは大丈夫だろう」と思いながら、リールモーターのピニオンギヤを摘まんで回したところ、重くて回りません。モーターの固着でしょうか?
モーターユニットを取り外し、モーターを点検しましたが異状なしです。
これは初めての経験ですが、このトレイを開閉するためのギヤが固着していました。
脱着してグリスアップします。
復活しました。朝方であったため、低い室温が影響した可能性がありますが、まさか一晩でギヤが固着するなんて夢にも思いませんでした。これから同様のメカをメンテナンスするときは注意が必要です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
ヘッドアジマスの調整を行います。フォワード方向と
リバース方向の両方向で調整します。
AUTO CALでキャリブレーション後に録再バランスを確認します。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。