5年前に当店で整備したDTC-2000ESです。
怪しい?テープを再生後に音が出なくなったということです。クリーニングテープを使用しても状況は変わらないとのことから当店にご依頼がありました。
動作確認を行います。テープは正常に走行しますが、メーターも反応なしです。
カバーを開けます。
事前のお話しから、まずはヘッドチップの汚れを疑います。拡大鏡で目視点検を行った結果、粘着質の汚れが付着していましたので、爪楊枝を用いてチップ表面を清掃します。
再生も録音も正常になりました。この状況は珍しくありません。テープに付着していた謎の汚れがヘッドチップの表面を覆い、クリーニングテープでは対応できないというものです。
今回のご依頼による修理は以上となりますが、前回整備から5年が経過していますので、点検整備をオーナー様にご提案したところ、快諾をいただきましたので、作業を継続します。
メカを降ろします。5年前の整備では、以下実施しております。
メカを裏返して、ドライブ基板を取り外します。
リングギヤに固着が無いことを確認します。
モードベルトは正常に見えましたが、劣化してひび割れが生じていますので、新品交換します。
リールモーターユニットのブレーキの効きを確認します。
最近2000ESで多発している電解コンデンサー液漏れの予防として全交換を行います。
続いてRFアンプです。ここも電解コンデンサーの液漏れが起きますので処置を行います。
まずは録音中の再生モニター専用のRFアンプです。4ケとも交換します。
続いて録音・再生用のRFアンプです。5ケとも交換します。
今回の機体は、心配していた液漏れは見られませんでしたが、液漏れが発生すると、基板や周囲のパーツを侵して取戻しがつかなくなることがありますので、定期的な点検や交換が必要です。今回はリード型に交換しましたので、当面の間は安心して使用できます。
カセットホルダーを取り外します。
硬化が進行しているピンチローラーを交換します。
メカを仮接続して動作確認を行います。
モード別・入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。古いテープには要注意です。