この年末年始にかけて6台目のDTC-2000ESです。
修理は10年ぶりということです。
テープをセットします。ローディングは開始しますが、
「CAUTION」表示となって動作しません。この状況から考えられる原因としては、ヘッドの回転に問題があるということが最初に思い浮かびます。
カバーを開けます。
回転ヘッドを指で動かしてみます。最初は固着して抵抗感がありましたが、その後はスムーズに回転するようになりました。ヘッドの固着は、長期間使用しないときに起こりやすいため、定期的に使用するということに留意する必要があります。今回は軽度でしたが、放置しておくと完全に固着してしまいます。
これで再生可能になりましたが、今回はメンテナンスも併せて実施することとなりました。
「照明を明るくしてほしい」とオーナー様からリクエストをいただきました。確かに少し暗い・・・と私も日ごろ感じていました。
フロントパネルを取り外します。なぜかフロントパネル下側を固定するビス4本が欠落していましたので、組み付け時は手持ちのビスを取り付けます。
本体側の上部にランプユニットがビス2本で固定されています。
LED3ケです。
高輝度タイプを加工して取り付けます。
(左)ビフォー(右)アフターです。いい感じになりました。私の2000ESもそのうち同じようにしたいと思います。
メカを降ろします。メカを固定しているビスは、無くなったと思っていたフロントパネル固定用が使われていました。10年前に一度修理されたということですが、その時にメカの固定ビスを紛失してしまったのでしょうか?
カセットホルダーを取り外します。
ピンチローラーを取り外し、すべすべした硬い面に押し付けてグリップ力を確認します。スリップしやすくなっていますので交換を行います。
メカを裏返してドライブ基板を取り外します。
リングギヤに固着が無いことを確認します。
モードベルトを交換します。
カートリッジ検出スイッチに接点復活剤を処置します。
ドライブ基板です。一部に液漏れが確認できます。
基板を痛めますので、予防措置として全交換します。
メカ後部に搭載されているRFアンプです。4ヘッド機ですので、「録音または再生用」と「録音中の再生モニター用」の2ケになります。
まずは「録音中の再生モニター用」です。
液漏れで端子が腐食しています。液漏れが恐ろしいのは、基板や周辺パーツを痛めることがあり、最悪の場合、復旧不能になるということです。
基板の裏と表を接続するスルーホールが腐食により絶縁しています。
新しい電解コンデンサーを取り付け、絶縁部にはバイパスを設けます。
続いて「録音または再生用」です。
こちらも液漏れが見られます。
全交換します。
メカを仮接続して動作確認を行います。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。