SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESXです。
20年ほど保管状態にあったということです。テープ走行が1・2秒で停止するようです。
トレイを開くためのスプリングが機体から飛び出しています。トレイが急激に開く、いわゆる「ロケットオープン」によりスプリングを支持する箇所が破損したためと考えられます。
当店の動作確認では、ヘッドが上がらず再生できませんでした。
カバーを開けてメカを取り出します。
ホルダーと化粧パネルを取り外します。
これが飛び出していたスプリングです。
テープ走行が1・2秒で停止する原因は、回転センサーにランプの光を伝達するプリズム表面の汚れと考えられますので清掃を行います。
ロケットオープンの原因となった、劣化したダンパーゴムを交換します。
スプリングを支える箇所が折れています。
折れた箇所に穿孔し、太いワイヤを差し込んで補修します。
ヘッドを持ち上げます。ピンチローラーアームの固着により動きが重くなっています。
ピンチローラーアームを脱着してゴムローラーを交換するとともに、取付箇所に塗られたグリスを拭き取って再グリスします。
リールを分解します。その奥側にはスプリングが取り付けられていますが、
スプリングとの接触部分に塗られたグリスが固まっていますので、除去清掃し再グリスします。
ホルダーを組み付けてスムーズな開閉を確認します。
モーター基板を取り外します。
ヘッドを上下するためのレバーの支点部に注油します。
ベルトを交換します。
本体に組み込んで動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が適正であることを確認します。
再生ヘッドのアジマスの調整を行います。
録音ヘッドのアジマスの調整を行います。
キャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
アクシア製のテープではややバランスが狂います。ヘッドタッチの問題ですが、キャプスタンやヘッドの摩耗が原因と考えられます。アクシア製のテープはヘッドタッチが弱い傾向にありますが、
カセットに内蔵されている、このパッドの構造や材質が関係していると思われます。
オーナー様にその旨お知らせし、修理完了です。