TEACのV-7000です。
再生が途中停止するということです。他店に修理を依頼したところ、「リールモーター故障のため修理不可」と診断されたということで当店の出番となりました。
機器を2階の作業場に移動したときに、内部から「カランコロン」という音が聞こえました。パーツが脱落している可能性がありますので確認が必要です。
カバーを開けました。「カランコロン」音の正体はビスでした。点検したところ、メカを固定しているビスでした。前修理者のミスです。
テープをセットしましたが、リールがまったく回らないため、テープが引き出されてしまいます。リールがまったく回らないというのは、事前のお話しとは異なります。
わかりました。リールモーターの配線が切れています。これも前修理の関係と思われます。しかし、配線を接続しましたが、やはりモーターは回りません。
ピニオンギヤをドライバーでつつくと、
再生が可能になりました。モーターが固着気味だったようです。
巻き戻しを行っていると、途中停止します。非常に珍しい状況です。
原因は、リールモーターのピニオンギヤとアイドラーギヤが奥に移動してたためでした。そのため、リールのギヤが上手くかみ合っていませんでした。この状況は人為的なトラブルと考えられます。
いずれにしても整備は必要な状態ですので、モーターOHも含め作業を進めることにします。
メカを降ろします。
化粧パネルを取り外します。アイドラーギヤとリールギヤの位置関係は写真のとおりです。これではうまく回転が伝わりません。
モーター脱着に備えてリール周りを分解します。リールの裏側には、センサーが回転を検知するための白黒のシールが貼られていますが、偏心しています。
シールが剥がれていましたので、接着剤で固定します。
左右リールとアイドラーギヤを取り外します。
続いて背面を分解していきます。キャプスタンモーターユニットを固定するビスが1本不足していました。
ここで気がつきましたが、指先には、カセットを押さえるプレートがあるはずですが、ありません。
こんな部品です。以前分解した際に取り付け忘れたと思われます。オーナー様にお話しし、前修理店からの回収をお願いしましたが、「すべて元通り組み立てた」という回答があったということで、当店で部品を手配することになりましたので、ジャンク機の手配を進めます。
ようやくリールモーターを取り外すことができました。
ここもパーツが欠落しています。スペーサーがありません。
モーターを分解します。
汚れた接点を研磨清掃します。ブラシ部も同様です。
組立を進めますが。欠落していたスペーサーは薄い六角ナットですので、通常のナットを削って代用します。
しばらくして、手配していた部品が入手できました。ケンウッドのKX-880SRジャンク機から部品を移植します。欠落していたプレートは、このようにカセットを押さえる役割があります。
キャプスタンベルトを交換します。
コントローモーターユニットのスイッチ接点を磨きます。
ヘッド周りをクリーニングします。写真を撮り忘れましたが、バックテンションベルトは新品交換しました。
本体に組み込んで動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が適正であることを確認します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。