以前、当店をご利用になった方から、新たなご依頼をいただきました。
PIONEER製DATデッキ、D-07です。不具合の状況としては、「コアキシャル出力の接触不良」「再生開始前の誤作動(カシャカシャ音)」です。
トレイを開けましたが、途中引っ掛かりがあります。
リッドの化粧パネルの浮きが原因ですので、後ほど処置を行います。
テープをセットして再生を開始しましたが、このときは誤作動は起きませんでした。
コアキシャルの接触不良状態を確認しましたが、プラグを軽く揺すっても問題は起こりませんでした。使用時に接触不良が起きていたのは事実と思われますが、機器同士の問題など、色々な理由が考えられますが、少なくとも背面端子が原因ではありません。
リッドの隙間に接着剤を充填し、クリップで挟んで一晩待ちました。
カバーを開けてメカを取り出します。
裏返すと、メカの動作状況を検知するロータリーエンコーダーが現れます。誤作動はここの接触不良が原因です。
取り外しました。かみ合わせ部分にテープのようなものが挟み込まれていましたので、過去に何らかの対策を講じたときのものと考えられますが、今となっては知る由もありません。
分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
メカの後部に取り付けられているのは、ヘッドの信号を処理するRFユニットですが、これを見たときに、すぐさまフロントパネルの機種名を再確認してしまいました。なぜなら、このタイプは、後継機のD-07A用(D-05やD-06も同様)だからです。
事前のお話では、過去にパイオニアの修理センターでヘッドとRFユニットを交換したことがあるということでしたので、その時のものということになりますが、以前、当店のブログで、D-07とD-07AのRFユニットの互換性について以下のような記事を掲載しています。
つまり、互換はできるが、少しの改造を伴うということです。メーカーサービスでそういった改造をするというのは、非常に珍しいケースです。いずれにしても問題はありませんので、先に進めます。
インストレーションユニットを切り離し、RFユニットの電解コンデンサーを交換します。
上記の記事と同様、コネクタの端部が切り取られています。
メカの点検を行います。
ピンチローラーを脱着して表面を軽く研磨し、専用クリーナーで清掃します。
指先のカートリッジ検出スイッチに接点復活剤を処置します。
普段あまり出番の無いモーターを空転させてリフレッシュを図ります。
本体に戻して動作確認を行います。
ヘッドホンVOLのガリに接点復活剤を処置します。
モード別、入出力別の録再状況を確認し、修理完了です。