少し前に修理したTC-K777ESですが、速度低下が再発したとご連絡いただきました。
状況をお聞きしたところ、「ミュージックテープで発生しやすい」「再生開始後30分経過した頃に発生する」「早送り巻き戻し後に再生すると発生する。ただし、テープを裏返すと正常に動作する」ということです。時間経過によるものは、熱による影響と考えられますが、最大の疑問は、なぜ、早送りや巻き戻しを行った後に発生するかということです。
点検を行うと、早送り巻き戻し後に異状にバックテンションが掛かることがあることがわかりました。リールユニットの調整不良があったようですので、必要な処置を行いました。ただし、30分経過後に発生するというのはそのままの状況です。このままやみくもに点検を進めても一向に前に進みませんので、まずは、不具合の原因が、モーター基板にあるのか、メカ本体にあるのかを確定することにしました。
本体左側面のモーター基板を、私が所有する777ESのものと換装してみました。(写真は換装前です)しかし、不具合は改善されませんでしたので、メカ本体に問題があるということがわかりました。
電源が入っていない状態で、フライホイールを指で回してみます。普通は、慣性で少しの間回り続けますが、この機体は、すぐに回転が停止してしまいます。キャプスタンの軸受け部分の抵抗が大きいようです。
メカを降ろして、キャプスタンの貫通部(軸受け)を清掃し、グリスを処置します。また、モーターのトルクを強めるために、電圧を強めることにしました。
電圧にして1V程度でしょうか?モーター基板の半固定抵抗を回して調整します。
その後、3日以上経過しましたが、不具合は発生しなくなりました。
では、なぜ、当店での修理後に速度低下が起きるようになったのかということですが、この機器は、元々バックテンションがまったく掛かっていなかったため、テープを痛める状態にあり、それを当店で修理したものです。
バックテンションが掛かると、特にテープ後半部分では、テープの左右の巻き取り量の変化により、走行系への負担が増大します。通常は、バックテンションが掛かる程度の負荷には影響を受けませんが、この機器では、キャプスタンの軸受け部分の抵抗が大きいため、モーターのトルクを上回る負荷が掛かり、速度低下を引き起こしたと考えられます。また、この機器は、相当の発熱を伴うため、熱膨張がさらに回転への負荷に関係したとも考えられます。さらには、比較的トラブルの起きやすいミュージックテープでは、走行系への負担が大きかったこともその理由ではないでしょうか。
(※太字は時間の経過により不具合が発生した理由)
つまり、修理前は、バックテンションが掛かっていなかったことで、ギリギリでモーターのトルクが勝っていたため不具合は発生しなかったということです。
以上、あくまでも仮説に過ぎませんが、可能性は非常に高いと考えております。
念のため、もう少し様子を見てお客様の元にお返ししたいと思います。






