今回は、当店で買取りした機器の修理です。
AKAIのGXC-325Dという非常に珍しい機種です。普段はこのタイプには触手は伸ばさないのですが、3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキというところに惹かれて、あくまでも個人的な趣味として買い取りました。純正のカバーも付属しています。1975年当時110,000円ということですので、現在の物価に換算すると、250,000円~300,000円程度という高級機になります。
底板を取り外しました。メカニズムはオープンデッキの技術を流用して設計されています。事前のお話しではベルト2本が切れているということでしたが、
キャプスタンベルトの掛け方が間違っていました。右写真が正常な状態です。ただし、切れていたリールベルトと劣化していたカウンターベルトは交換しました。なお、アイドラーゴムも数か所使用されていましたが、手持ちに適当なサイズのものが無かったため、今回は、表面を軽く研磨し、専用クリーナーで処理して再利用します。
フロントパネルを取り外します。
真ん中の筒状のものは、カウンターに接続されていて、走馬灯のように回転します。最初は動作していませんでしたが、シャフト部の固着を解消し、切れていたランプを交換しました。
すると、このように、テープ走行に合わせ、ランプが左から右に移動しているように表示されるようになります。
上部のパネルを取り外して、切れていたPAUSEランプを交換します。
ヘッドは、ブロックを固定している下部2本のビスを緩めると脱着できますので、
カチカチに硬化しているピンチローラーを交換します。ただし、外径は11mm、幅8mmという標準的なサイズですが、シャフト径が2.5mmという入手困難なサイズですので、2mmのものを加工して取り付けます。なお、穴が偏心すると音揺れの原因になりますので、穴径を拡大するときは、一気にではなく、ドリルの径を0.1mmずつアップしながら行うとうまくいきます。
速度の調整、
ヘッドアジマスの調整、
録再バランス調整、
バイアス調整(かなりハイ上がりでしたので、抑えめにしました)を行い、
録音状況を確認します。
ジャックを磨きます。
パネルもオレンジクリーナーで清掃し、ピカピカになりました。VOL類にガリはありませんし、スイッチ類の接触不良もありません。
これで最低限必要なメンテナンスは終了ですが、意外だったのが、録音も含め音質が良好なことです。元々音質は全く期待していなかったのですが、50年前の機器でこの実力とは驚きました。さすがテープデッキのAKAIです。
今回は、回路に故障が無かったのが幸いでした。なぜなら、この時代の機器の回路修理は、部品配置が不規則であったり、回路図と実際の基板との照合が面倒だったりしますので、かなりの手間と時間を要するからです。
期待を大幅に上回る状態であったため、使用しているうちにすっかり愛着が湧いてしまいましたが、最大の問題は、この機器の置き場所です。狭い私の仕事部屋には作業台以外には空いたスペースがありません。それは最初からわかっていたのですが・・・
今回は以上です。

























