今日はGX-Z9100の修理です。
10年ほど前に中古購入したものの、ほどなくして長尺テープで傷が付く症状が現れたので使用を控えていたということです。
ベルトスリップによりトレイが開いたまま閉まりません。
GX機では、テープガイド破損が一番の心配ですので、まずは点検を行います。問題ありません。テープが入った状態でトレイが開かなくなったときに、無理にこじ開けるとほぼ100％破損しますのでご注意ください。
カバーを開けます。ケーブルがバラバラになっています。以前のオーナーがベルト交換でもしたのでしょうか？
メカを取り出してカセットホルダーを分解します。
カセットテープを押さえつけるスプリングにへたりが見られますので脱着して整形します。
ヘッド周りは動きが重くなっています。これが進行するとテープが引っ掛かり、テープガイド破損に至ります。
こういった箇所も、硬くなったグリスを拭き取って、固まりにくいシリコングリスを塗布します。
パーツを清掃し元通りに組み立てていきます。
ピンチローラーです。表面に細かいひび割れが見られます。
同サイズの代替品新品に交換します。
左右リールとアイドラーを取り外し、ゴムの当たる箇所の清掃を行います。
アイドラーゴムはカチカチに固くなっていました。新品に交換します。
左側リールのブレーキパッドが無くなっています。テープにキズが付いたのは、これとピンチローラー劣化が原因です。不織布をカットし、弾力性のある接着剤で貼り付けます。
これでフロント部は完了です。そのままメカを前に倒して、
基板を外すと各ユニットを簡単に取り出すことができます。
ゴムベルトの当たり面のゴムカスを除去します。
トレイ開閉とヘッドの上下を行うカムモーターのベルトを交換、
誤消去防止・テープ種別検知スイッチの接点を清掃します。
キャプスタンベルトには型が付いてしまっています。新品に交換します。シャフトにグリスを施し、
メカのメンテナンスが完了しましたので、本体に組み付けます。
テープ走行と音出しのチェックを行います。問題はありません。
テープの走行状態を目視点検します。
テープ速度も問題はありません。
ヘッドアジマスの調整を行います。２枚目が調整前ですが逆位相気味です。３枚目が調整後です。
入力に対する出力の左右レベルを調整します。
150分の長尺テープも用いて録音再生テストを行います。もちろんテープにシワが付くことは無くなりました。
内部のケーブルを束ね、外装を取り付けて完成です。動作音質良好です。
