AKAIのGX-93の修理依頼をいただきました。
中古入手したものの、「テープを痛める」などテープ走行の問題のほか、「動作音が大きい」「テープ終盤での音揺れ」「バランス不良」などの不具合を抱えているとのことです。
トレイ開閉時や動作切り替え時の動作音が大きいのは、カムモーターの劣化が原因です。
巻き取りトルクとバックテンションを測定してみます。巻き取りトルクが異常に強いのに対し、バックテンションはゼロです。そのため、再生状態で左側リールを回してみると抵抗感がまったくありません。
目視点検します。左リールのバックテンション用のブレーキパッドが剥がれ落ちています。また、アイドラーゴムの直径が明らかに大きいものが取り付けられているのがわかりました。
カバーとフロントパネルを取り外し、メカを取り出します。
メカに固着は見られませんが、製造時に塗られたグリスが固まりかけています。
分解して清掃し、再グリスします。
ブレーキパッドを補修します。
硬化したピンチローラーを交換します。
左右リールとアイドラーを取り外します。
左側のゴムリングが元々取り付けられていたものです。直径が大きいため、巻き取るトルクに影響があったのでしょうか？
メカ背面の基板を取り外します。
異音を発していたカムモーターです。
モーターとベルトを交換します。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
動作確認を行いましたが、ここで問題が発生しました。ひどい音揺れが発生します。
点検の結果、メカのコネクタの取り付け部の半田クラックを発見しましたので再半田を行い、無事解消されました。
トルク等を確認します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ミラーカセットを用いてテープパスの点検を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランスを調整します。dbxがON-OFF両方で行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認します。
最後になりますが、写真はこの機体のインシュレーターです。４か所のうち２か所、防振や傷防止のためのゴムが紛失しています。オーナー様からご依頼はありませんでしたが、個人的に気になりましたので、
１ｍｍ厚のゴムシートをサークルカッターで切り出し、
それを接着剤で貼り付けます。かなりいい感じになりました。もちろんこれは当店のサービスです。
以上、修理完了です。
