TASCAM 112RmkⅡ(その1)の続きです。
破損したギヤの入荷待ちのため一時修理を中断していた112RmkⅡですが、
2週間弱でアメリカから到着しました。
力の加わる箇所は金属になっているハイブリッドタイプです。
軸の部分にシリコングリスを塗布し組み立てます。
各部の点検を行います。ブレーキの状態も良好です。
テープセレクターの接点も汚れがありません。
メカを本体に戻して動作テストです。無事音出しに成功しましたので調整に移ります。
念のためテープパスの点検を行います。異状ありません。
続いてテープ速度の点検です。このデッキにはピッチコントロール機能がありますので、まずはOFFにして点検を行います。315Hzのテープを再生していますので、2%弱速い状態です。
ここからはサービスマニュアルを頼りに作業を進めます。キャプスタンモーターの速度は左側のラックマウント金具の裏側に隠れています。
半固定抵抗が2個ありますので、上側を回して調整します。
調整後です。
次はピッチコントロールをON、かつ、ツマミがセンターになるように合わせて、点検します。これも2%速い状態です。
先ほどの半固定抵抗、下側で調整します。
ヘッドアジマスを点検します。
ヘッド下側のネジで調整します。フォワード側は左のネジを回します。
テープを裏返してリバース側の点検を行います。
右側のネジを回して合わせます。
録再調整をするためには上側の基板が邪魔ですので、脱着を行う必要があります。
パソコンで315Hz、1kHz、10kHzの周波数を発生させます。それを録音し、再生します。
10kHz(一番右側)が減衰していますので、基板上のバイアスツマミを回して、
すべて同レベルになるよう調整します。テープポジション別に3回繰り返します。
左右の入力レベルと出力レベルが同一になるよう調整します。これでメンテナンス完了と思ったのも束の間、
カウンターの表示エラーが見つかりました。
早速フロントパネルを外してFL管周りの接触不良がないか点検します。
ただ、よくよく見てみると、4桁の数字すべてで同じエラーが出ています。以前SONYのデッキでも同じような不具合を経験しましたが、この症状はおそらくICの故障です。型番を調べましたが修理するためにはジャンク機から移植するしかないようです。その旨オーナー様にご連絡し、今回の修理はここまでとなりました。
修理完了です。動作、音質、外観いずれも良好な希少品です。