A&DのフラッグシップモデルGX-9100EXの修理依頼がありました。

AKAIのカセットデッキ生産600万台を記念して製造された機種で、無印9100とはトレイの蓋のデザインの変更がされているほか、オーディオ回路も一部見直しがなされています。

電源をONにすると、トレイ用のカムモーターの「ギー」という音と共にトレイが勝手に開いてしまいます。モーターの軸受けの劣化、ベルトのスリップが原因です。

上蓋を開けました。上下基盤の仕切りが銅メッキ仕様となっています。一部結束バンドの状況から、修理を試みた形跡が残っています。


続いて同じく銅メッキ仕様の底板を外します。先代モデルと非常に似た造りです。

ヘッドのケーブルコネクタとフロントパネルを取り外し、デッキメカを前方から取り出します。


トレイやテープガイドの破損はありません。ヘッドに摩耗などは全く見られません。さすがのGXヘッドですね。

メカを上から見たところです。中央に見えるのがリールモーター、左端がカムモーターです。

カセットホルダーを取り外した後、ヘッドブロックの上下動、ピンチローラーアームの点検を行いますが、左右アームが固着しています。


左右ピンチローラーの状態です。表面が劣化しテカリが出ています。表面を軽く研磨し、専用のクリーナー(S-721H:当店で販売しています)で清掃します。固着したグリスをCRC556で丁寧に除去しグリスアップを施します。

アイドラーゴムも劣化しています。これは全体に硬化していますので新品に交換します。

続いてメカの背面に移ります。基盤を取り外してキャプスタンのフライホイール、カムモーターを取り出します。

トレイが勝手に開く原因はこのベルトのスリップです。左は新品です。


軸受けの劣化により騒音を発生しているカムモーターを交換します。改良型のEV用を加工して取り付けます。

フライホイールもゴムカスが付着していますのでベルトの当たり面を清掃します。

テープセレクタの検出SWの接点も清掃し、元通りに組み立てます。キャプスタン軸にはグリスアップを行います。


メカの動作を点検します。なぜか動作音が大きいので確認してみると右側リールの先端の留め具が外れていました。

本体に組み付けて調整に移ります。


テープ速度のチェック、アジマスと左右録再バランス調整を行いました。

調整を終え、試聴です。名機が息を吹き返しました。大変明るいダイナミックなAKAIサウンドです。
最後にケーブルを束ね、外装を元通りに組み立てて修理完了です。お持ちのデッキの不調でお悩みの方はぜひ当店にお問い合わせください。