SONY社製の業務用DATデッキ、PCM-R700の修理&メンテナンス依頼をいただきました。
症状は、「トレイを開けてもすぐに閉じてしまう」というものです。
電源をONにしてイジェクトボタンを押しました。開いたと思ったらすぐ閉じました。トレイの外観からDTC-2000ESやDTC-ZA5ESと同じメカが採用されていると思われます。
4ヘッドですので、上から見るとDTC-2000ESと同じに見えますが、ヘッドクリーナーは改良版が搭載されています。
電源トランスが特徴的です。「Rコア」といって磁束の漏洩が少ないタイプです。基板はDTC-A8の4ヘッド版というところでしょうか。
メカを取り出しました。手前の白い四角の形状のものは両面テープです。トレイ蓋のツメが片側破損し、それを固定するために貼られたと思われます。右写真はトレイメカですが、このパーツ同士が擦れる箇所の滑りが悪くなりトレイ開閉の不具合が生じます。
必要な箇所にシリコングリスを施します。
ピンチローラーは弾力がありますので清掃し再利用しますが、白い樹脂製の留め具が割れています。このままでは使用中に脱落して不動となりますので、抜け出し防止措置として接着剤を微量塗布します。
メカを裏返します。基板はDTC-ZA5ES(A8)と同じものです。各ユニットのメンテナンスを行うために基板を外します。
ギヤやモーター類を取り外しました。リングギヤの固着はありません。
この可動部に塗られたグリスが固まって動作不良の原因となります。
綺麗に清掃しシリコングリスを施しました。
モーターの動力をギヤに伝達するモードベルトです。ここもこのメカのウイークポイントですので新品交換します。
リングギヤを組み付けて、スムーズに回転することを確認します。
2DDリールメカはブレーキパッドの点検を行います。パッドの状態も良好、効きも問題ありません。
各ユニットを元通りに組み付けます。
トレイ開閉の不具合は解消されました。
再生、録音状況の点検を行います。
修理完了です。民生用と異なりメカニカルな雰囲気満載のモデルです。