SONYのDATデッキ、DTC-59ESJの修理依頼をいただきました。
10年ほど前に中古購入し、最近までは正常に動作していたということです。
テープをセットしました。トレイ開閉はしますが、ローディング動作に至りません。何度か繰り返すとようやくローディングが開始しましたが、操作ボタンを押すと誤作動が起きることがあります。ローディングが成功したときは再生可能ですが動作は少し頼りなく感じます。
カバーを開けました。59ESとの仕様上の違いはSBMの有無ですが、中身はメカを除き電源もメイン基板も異なります。
この機種のウィークポイントを順番に改善していきます。このトレイユニットの動きが悪くなるとトレイが勝手に閉まるようになりますので、可動部にグリスを施します。
経年による変質によりヘッド表面を侵すスポンジ製ヘッドクリーナーは撤去します。幸いにもヘッドに影響は及んでいませんでした。
写真中央に写っている白い四角のパーツはテープ検出スイッチです。このスイッチが接触不良を起こしていますが、分解不可、新品入手不可ですので、隙間から接点復活剤を微量吹き付けます。
メカ底部の基板、リールメカを切り離します。
可動式テープガイドを駆動するギヤを固定している樹脂製パーツが割れて脱落寸前です。同じものに交換しても同じ結果になりますので、Eリングに置換します。
テープガイドを導く樹脂製レールが割れて間隔が狭まり、テープガイドが引っ掛かります。
狭まっている部分をヤスリで削ります。これでテープガイドがスムーズに移動できます。
キャプスタンモーターの脱着を行い、ギヤを駆動するパーツを分解し、グリスアップを行います。
リールメカです。ギヤ類、左右リールを分解し、可動部にグリスアップを行います。
元通り組み立てて動作テストです。メカの動作・テープ走行ともに良好です。
使用しているうちに少し改善されてきましたが、再生ボタンを押すと早送りになったりと、やはり誤作動が起きます。ただし、リモコンでは正常に動作しますのでスイッチに問題を抱えているということになります。
フロントパネルの脱着を行いディスプレイ基板を取り出します。
操作スイッチ9ケを新品交換します。
ヘッドの信号に問題はありません。
ヘッドホンVOLにガリが発生していますので、裏側の隙間から接点復活剤を施します。
各モードでの録音テストを行い、
修理が完了しました。