SONYのTC-K555ESGの修理依頼をいただきました。
以前に修理歴があるということですので、点検状況に合わせて整備内容を決定したいと思います。
テープがセットされていますが、イジェクトボタンを押してもトレイが開きません。
カバーを開けて点検を行います。まずは、555ESG、333ESGに多発するオーディオ基板のELNA製電解コンデンサーの液漏れの有無を確認します。
再生基板です。問題ありません。
ヘッドホン基板と録音基板です。コンデンサー取り付け部が白っぽく汚れている場合は液漏れが起きている証拠ですが、汚れは見られません。同じESGでも製造時期によって、液漏れが起きない機体が10～20台に１台程度存在します。
メカを取り出します。テープを取り出すためには「トレイを分解する」「メカ内部ギヤを手動で回す」のいずれかです。
トレイを分解しました。
左側ピンチローラーは一度交換されたことがあるようです。
メカ内部のベルトが無くなっています。
キャプスタンモーターを切り離します。
モーターを分解します。
基板上の電解コンデンサーに液漏れは見られませんが、ここの交換は必須です。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布し、新しいベルトに交換し組み立てます。
メカフロント部です。モーターブロックを切り離します。
ベルトは劣化により破断して落ちていました。これも交換歴があります。
プーリーをアルコールで脱脂し、新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外します。
分解し、接点を研磨清掃し、専用グリスを施します。
テープ検出スイッチの接点を清掃します。
モーターブロックを取り付けます。２か所かみ合わせに気を付けるところがありますので注意が必要です。
ベルト本掛けします。
キャプスタンモーターを組み付けます。
ピンチローラーを交換します。
元通りに組み立てます。
本体に戻して走行テストを行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzのテープを再生してテープ速度の点検を行います。アナログ機器ですので、0.2Hz程度の振れ幅があります。
ヘッドアジマスを調整します。
左右同レベルのサイン波を入力します。バイアス調整を行い、録音再生レベルが同じになるよう合わせます。
聴感テストを行います。動作音質良好です。
完成しました。
