EXCELIAの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、XK-009の修理依頼をいただきました。
このデッキのメカは、基本的なシステムは先日修理したXK-S9000と同じですが、AMTSの動作方式が、XK-S9000がカム駆動であるのに対し、この機種はソレノイドで駆動しているので、カセットテープをセットすると「バシャン」と大きな動作音がします。
オーナー様は30年前に新品で購入後、おおむね10年ごとに修理を行っているということですが、
現在では、テープ走行がほぼ動作しません。おそらくアイドラーゴムの劣化が原因です。ゴムパーツを使用しているメカは、5~10年ごとにメンテナンスが必要です。
早速カバーを開けて、まずは、メカを取り出すために支障となるAMTSのソレノイドを取り外し、
メカを取り出しました。
再生不可は、ここのアイドラーゴム(白いモータープーリーの左)の劣化が原因です。
トレイを切り離します。リール間に見えるアイドラーは、早送りと巻き戻し用です。これも劣化してスリップしています。
メカを前方に倒して、キャプスタンモーターを取り外します。
10年前に交換されたベルトです。かなり柔らかくスベスベになっていますので、後ほど交換します。
フライホイール、リールモーターの順に取り外すと、
アイドラーが見えてきました。
アイドラーを脱着するためにパネルを取り外します。
リーフスイッチ2か所の接点を磨きます。
アイドラーを取り出してゴムリングを交換します。
キャプスタンのシャフトにグリスを塗布、新しいベルトを掛けて組み立てます。
再生用のアイドラーです。モーターを取り外し、
アイドラーゴムを交換します。
ここのリールベルトも交換します。
このデッキは、AMTSが作動した状態でないとカセットテープが正しい位置に収まらないため、正常にテープ走行しません。そのため、動作テストは、メカを本体に組み込んでから行わなければなりません。
機器が温まるのを待って、315Hzのテープを再生して速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしバランス調整を行います。
複数のテープで聴感テストを行い、完成です。