本ブログ初登場、Aurexの3ヘッドシングルキャプスタンカセットデッキ、PC-X88ADです。
不具合の状況としては、Aurex独自のノイズリダクション「adres」をONにすると片チャンネルの音が出ないということです。
ノイズリダクションの切り替えスイッチを数回ガチャガチャしていると、何となく改善の兆しが見られますので、単なるスイッチの接触不良でしょうか?
カバーを開けます。
切り替えスイッチの接点部分に接点復活剤を微量注入します。
VOL類もガリが見られますので、同様にVOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
接触不良が改善され、左右CHから音が出るようになりましたが、adresがONの場合、右CHの出力が小さく、かつ低音域が出ません。明らかな音質不良というのは珍しい故障です。
先ほどの写真です。基板は2段になっていて、上段のの基板がadresユニットです。ここのどこかに故障があるはずですが、音質不良という故障ですので、皆目見当がつきません。しかし、再生のみでも低音域が出ませんので、エンコード回路ではなく、デコード回路(基板の左半分)の不具合ということは間違いありません。
回路を見渡すと、それほど複雑ではありませんので、コンデンサー、IC、トランジスタなど、怪しいところから順番に、左右CHの十数個のパーツを入れ替えていきます。地味な作業ですが、片CH不良の場合は故障箇所特定にかなり有効な手法です。
運よく一発で引き当てました。写真のフィルムコンデンサーを左右交換すると不具合が入れ替わりました。ナカミチのデッキではたまにありますが、一般的にはあまり故障とは縁の無いパーツです。9100pという半端な容量でしたので、0.01μFと交換します。
交換しました。これで音質は正常に戻りました。
故障の修理が完了しましたので、点検調整を行います。テープ速度に問題はありません。
ヘッドアジマスも狂いはありません。
再生バランス調整を行います。
録音バランス調整を行います。左右同レベルの信号を入力し、
この機種ではフロントパネルのツマミで調整します。再生モニターが先ほどと同じレベルになるように合わせます。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認します。ノーマルテープが最も相性が良いようです。
以上修理完了です。