SONY製DATデッキ、DTC-ZE700の修理依頼をいただきました。
2か月ほど前にネットで中古購入されたという機器ですが、
カセットを挿入すると「CAUTION」表示になってしまいます。
リッドのアクリル板が剥がれかけています。両面テープで貼られているだけですので補修します。
カバーを開けてメカを取り出しました。
裏返して基板とリールユニットを取り外します。
内部から小さなパーツが転がり落ちました。
可動式のテープガイドを固定している樹脂製の留め具が、経年劣化により割れたため脱落しました。
鋼製のEリングに置換します。
テープガイドの動きをチェックしました。しかし、途中で引っ掛かることがあります。
樹脂製のガイドレール変形が原因ですので、修正を行います。所定の位置まで動くようになりました。今回の故障はこれらが原因とこの時点では確信していましたが、実はほかにも重大な故障が隠れていました。
リールユニットです。青色のソレノイドの固定ビスは、緩みやすいので増し締めを行います。
回転パーツを脱着してグリスアップします。
カセットホルダーを取り外します。
ピンチローラーです。中心部に見たことの無い黒いものが付着していました。留め具の代わりに接着剤が使用されていたようです。
取り外して点検します。状態は良好でしたので、クリーニングし再利用します。
シリコンチューブを留め具として代用します。
カセットホルダーの可動部にグリスアップします。
メカを元に戻して動作確認を行います。しかしCAUTION表示となります。
メカを観察すると、ヘッドが回転していないことがわかりました。指でアシストすると回転しだすのですが、一か所引っかかりがあり、一度停止すると自ら回転することができません。この機種ではほとんど見かけませんが、ヘッドの固着です。これは交換するしかありません。
早速オーナー様にその旨お伝えしたところ、GOサインをいただきましたので、ヘッド交換を行います。
交換を行い、無事動作するようになりました。
ヘッドの信号をチェックします。OKです。
モード別、入出力別の録再状況を確認します。
ヘッドホンVOLに「バリッ」というガリが発生していますので、VOL背面の隙間から接点復活剤を処置します。
完成です。