YAMAHAの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、KX-1000の修理依頼をいただきました。
この20年程は使用していなかったとのことです。
電源を入れるとモーターが高速で回転している音が聞こえます。おそらくキャプスタンベルトが切れたためです。再生ボタンを押すと、ヘッドは上がりますがリールが回転しないため再生不可です。
早送り巻き戻しは何とかできますが、アイドラーがスリップしているため動作不良です。
カバーを開けてメカを取り出します。
ハウジング内の化粧パネルを取り外します。バックテンションが伸びて弛んでいます。
加水分解で溶けていましたので交換します。
アイドラーゴムを交換します。外径14mmです。
背面から分解していきます。ベルトがありませんが、オーナー様が除去されたと思われます。
テープポジション検出スイッチの接点を磨きます。
新しいベルトを掛けます。径80mmです。
カムモーターユニットを取り外します。
このユニットの弱点は2点あります。一点目はスイッチの接触不良が起きやすいということです。汚れた接点を磨きます。
2点目は、カムモーター内部の接点が接触不良を起こしやすいことです。接触改善を図るため、カムを取り外した状態でモーターに電圧を加え、半日ほど空転させます。
リールモーターも同様に空転させます。
カセット挿入を検知する接点を磨きます。
ピンチローラーとヘッドを清掃します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
スライドVOLにガリが見られますので、フロントパネルを取り外して接点復活剤を処置します。
バイアスのツマミがグラグラしていると思ったら差し込み部が割れていました。接着剤で補修します。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。