お客様からお譲りいただいたナカミチのZX-9です。
そのお客様曰く、「機能が多すぎて使いこなせない」ということでした。確かにツマミが多くマニア向けの製品といえます。
一応動作品ですが、動作確認を行うと、珍しい不具合を抱えていることがわかりました。再生を開始すると、一瞬クリアな音が出ますが、即、音が籠ります。テープパスに問題があるのでしょうか?
ヘッドとピンチローラーの位置関係は、見た限りでは問題は無さそうです。通常は、ミラーカセットを用いて、テープの走行状態(テープパス)を確認するのですが、
テープパスを点検しようにも、ナカミチのサイレントメカを搭載しているモデルのほとんどは、組み立てた状態では、カセットホルダーが邪魔になってテープ走行を目視できません。
そこで、ヘッド周りを切り取ったカセットを用意して、
これでなんとか再生中のテープの状態を見ることができます。すると、再生開始後、左右キャプスタン間で、少しずつテープが撓んでいくのが確認されました。
以前、キャプスタンベルトがスリップしテープにたるみが生じたという事例を経験しましたが、この機体では問題はありませんでした。ということは、右側のキャプスタンの摩耗が疑われますが、交換パーツの入手は極めて困難です。そこで、企業秘密になりますが、ある工夫を施します。
無事、音の籠りは無くなりました。今後こういった故障は増えるのでしょうね。以上修理完了です。