PIONEERの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、T-1000Sの修理依頼をいただきました。
10年ほど放置している間に故障したということです。
リッドが開きません。
カバー、化粧パネル、フロントパネルを取り外し、
メカを取り出しました。
メカを背面から見たところです。アイボリー色のプーリーに掛けられたベルトが緩んでいます。
底面です。キャプスタンベルトも伸びています。
カムモーターユニットを取り出して、ベルトを交換します。
モータープレートを取り外し、伸びたベルトを取り出します。
新しいベルトを掛けます。径73mmと65mmです。
アイドラーゴムの交換を行います。カセットハウジング内の化粧パネルを取り外します。
支障となるパーツを分解していきます。
ゴムリングを交換します。
メカを元通り組み立てて、本体に戻し、動作確認を行います。トレイ開閉OKです。
ここで問題が起こりました。テープ走行もOKですが、出力にノイズが乗ります。
無音状態でメーターが振れるほどの「ジー」というノイズです。どこか接触が悪いのでしょうか?
基板を押したりケーブルを引っ張ったりしているうちに、このケーブルに触れるとノイズが変化することがわかりました。
回路図が無いので詳細はわかりませんが、ケーブルが接続されているのは、ドルビーSの録音基板と再生基板と思われます。
試しに基板の入出力コネクタを切り離してみます。
もちろんドルビーSは機能しなくなります。しかし、ノイズは無くなりました。ドルビーSの回路に故障があるということになりますが、回路図も無く、かつ、非常に複雑な回路であることから、修理は極めて困難です。オーナー様にその旨ご説明し、修理はここまでとし、調整を進めることとしました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
オートチューニングを作動後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。