3SONY製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K222ESGです。
イジェクトボタンを押してもモーター音が鳴るのみで、リッドが開きません。
この機種を取り扱うのは3年ぶりです。「電源・コントロール基板」と「オーディオ基板」が仕切られています。後継機では基板が一枚にまとめられていますので、カバーを開けたときに非常に新鮮な感じがしました。
指でトレイのロックを解除すると、少し開きますので、リッドを取り外すことができます。
メカを取り出しました。
調整式になっている左側のピンチローラーアームの位置を測定します。過大値を示しましたので。シャフト抜けが生じています。
ピンチローラー、アイドラーを取り外し、キャプスタンモーターユニットを切り離します。
先ほど抜け出しが生じていたのはこのシャフトです。
引っ張ると簡単に抜けてしまいましたので、抜け防止処置を施して、製造時の位置にまで圧入します。
モーターユニットを分解します。基板上の電解コンデンサーは、外見上は異状なしに見えますが、
消耗品ですので交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカフロント部を分解します。
ベルトが溶けてプーリーに絡みついています。
オレンジクリーナーで清掃します。
新しいベルトを仮掛けし、組み立て時にモータープーリーに掛け直します。
ロータリーエンコーダーを分解します。
汚れた接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを処置します。
オートセレクタ用のスイッチ接点を磨きます。
ピンチローラーは弾力がありますので、表面を専用クリーナーで清掃し再利用します。
本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
ヘッドアジマスの調整を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。許容範囲内です。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。