今回は非常に希少なモデルです。ALPINE/LUXMANのKD-117というDATデッキです。
オーナー様が15~20年ほど前に入手されたという機器ですが、現状はトレイが何かに引っ掛かって開かない状態です。
カバーを開けました。
イジェクトボタンを押すとメカは動こうとしますが、最終的にはベルトがスリップしてしまいます。
ギヤを指でアシストすると、引っ掛かりがなくなり開きました。
下から小さなビスが出てきました。これが引っ掛かっていたようです。
メカを取り出しました。
裏返したところです。先ほどの小さなネジは、ここから脱落してしまったようです。
カセコンメカを切り離します。デッキメカはSONYのDTC-1000ESと同じです。
リールモーターユニットやキャプスタンモーターなどを取り外していきます。
この可動式テープガイドが固着していますので、脱着してグリスアップします。
スムーズに動くことを確認します。
更に分解を進めます。
ロータリーエンコーダーです。ギヤにひび割れが見られます。このままでは真っ二つになってしまいます。
ワイヤーを埋め込んで補強し、接着します。
ベルトを交換します。
ローディングユニットのギヤが固着していますので、分解しグリスアップします。
可動式テープガイドを駆動するリングギヤです。製造時に処置されたグリスが固まって、可動部の動きが重くなっています。
この可動部も固着しています。
加熱して古いグリスを溶かし、新たに注油しました。
2DDリールユニットです。
ブレーキパッドが剥がれて貼り付いています。
そのため、ブレーキの効きが甘くなっています。
パッドが剥がれています。
分解してパッドを張り替えます。
指先のカセット検出スイッチに接点復活剤を処置します。
ヘッドのコントロール基板です。電解コンデンサーを交換します。
硬化しているピンチローラーを交換します。
メカを本体に仮接続して動作確認を行います。しかし、メーターは振れますが、LINEOUTから音が出ません。ただし、デジタル出力は正常です。
最初は気がつきませんでしたが、デジタル基板上の電解コンデンサーが液漏れし、すぐ横のIC端子を侵しています。おそらくこれが原因ですが、残念ながらこれは修理できません。今回はここで修理不可と判断し、現状のまま、返送料のみご負担いただき、オーナー様の元にお返ししました。