Victor製３ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V931の修理依頼をいただきました。
不具合は、大きく２点です。「早送り、巻き戻しができない。」これはTDシリーズ共通の弱点であるギヤ割れが原因と思われます。
もう一点は、「無音部でレベルメーター6dB程のピ－音が出ている。」ということです。以前も同様の故障を一度経験していますので、同じ原因の可能性があります。
ブランクテープを再生すると、ノイズが発生します。メーターも写真のような状況です。
5kHz程度のノイズです。
カバーを開けます。
ビクター製のデッキでは、これまで何度かアース不良によるノイズ発生を経験しています。
メカ本体と筐体の間にアーズ線を仮設置すると、ノイズは消えました。アース不良確定ですので、後ほどアース線を追加します。
メカを降ろします。
この機種ではトレイユニットとメカが一体型になっています。
最初カウンター基板を取り外しますが、FL管の真空引き箇所の突起部を破損しないよう養生します。
バックライトの半田付け箇所を切り離します。
ビス数カ所を緩めると、トレイユニットとメカ本体を分離することができます。
再生時は、キャプスタンに取り付けられたローラーの回転を、黒色のアイドラーがリールに伝達する仕組みです。ローラーに割れが無いことを確認します。
カウンター基板・オートセレクタ基板を取り外します。
モーター基板を取り外します。
モーター基板上の電解コンデンサーに液漏れ等の問題はありません。
モーターユニットを取り外します。
左がヘッドの上下などの動作を行うモーター、右は早送り巻き戻し用ですが、ギヤが欠けています。
両方とも代替品と交換します。
ベルトがスベスベになっていますので新品交換します。
アイドラーゴム、ピンチローラーとヘッドを専用クリーナーでクリーニングします。
メカの背面と本体間にアースラインを設けます。
メカを本体に戻して動作確認を行います。
無音部分でノイズが発生しないことも確認します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度が許容範囲内にあることを確認します。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。
