SONY製DATデッキ、DTC-ZA5ESの修理依頼をいただきました。
十数年前にSONYサービスで一度修理されたことがあるということですが、ヘッドからモーターまで、主要部品のほとんどを交換されたようです。
電源を入れると、「OPEN」表示となり、内部で「ガッ」という音が聞こえますが、トレイは開かず、一度消えた「OPEN」が再度点灯しますが、やはり開かず、結局「CAUTION」になってしまいます。
カバーを開けて動作状況を目視点検します。すると、モーターが回転し始めるとローディングベルトが撓み、スリップしていました。
加水分解により弾力が失われています。元々付いているベルトは加水分解しない材質ですが、以前修理された際に交換されたと思われます。
バンコードベルトを取り付けます。
これでトレイが開くようになりましたが、
テープをセットするとローディングが開始されますが、動きが非常に緩慢です。また、音は出ましたが、ノイズしか出力されません。
可動式のテープガイドが所定の位置の手前で停止しているのが原因です。メカの固着でしょうか?
メカを降ろしました。内部を覗いてみると、ピンチローラーが無くなっていました。これではまともに再生されるはずがありません。
梱包されていた段ボールの中に転がっていました。樹脂製の留め具が割れて外れてしまったことが原因です。
まずは、動きの重いメカのメンテナンスを行います。裏返して底部の基板を取り外します。
ギヤを指で回すと、かなりの抵抗感があります。
このプーリーのシャフト部に塗られたグリスが固まっていたことが原因と思われます。
モーターやギヤ類を分解します。リングギヤに固着はありませんでしたが、古いグリスは拭き取って再グリスします。
硬化変形しているモードベルトを交換します。
リールユニットです。ブレーキの効きが十分なこと、及びパッドの剥がれが無いことを確認します。
カセットホルダーを取り外します。
ピンチローラーの留め具は、メカに貼り付いていました。ただし、割れていますので再利用できません。
シリコンチューブ(左の透明のもの)で代用します。
取り付けます。
カセットホルダーの可動部にグリスを処置します。動きが悪くなると、トレイが開いたと思ったら勝手に閉まってしまいます。
動作確認を行います。今度はOKです。
入出力別、モード別の録再状況を確認します。
メモリー用の電池が消耗していましたので交換します。
日時を合わせて、修理完了です。