SONY製３ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TC-K555ESRの修理依頼をいただきました。
大きく２点の不具合を抱えています。
１点目は、ESR・ESXモデル定番の故障である「ロケットオープン」ですが、すでにバネを受ける箇所が破損しています。
２点目は、早送りと巻き戻しの速度が異常に遅いことです。
カバーを開けてメカを取り出しますが、少しコツが必要ですので、DIYでされる方はご注意ください。固定している上下４か所のビスを緩め、メカを後方にずらしてから引き上げるのですが、その際に、ヘッド下部が本体の底板に当たります。そのまま作業を進めると、ヘッドブロックを支えている１ｍｍほどのスチールボールが脱落し、ヘッドが狂います。それを避けるために、ヘッドを後方にずらす時はヘッドブロックを持ち上げながら行います。
ホルダーを切り離します。
ロケットオープンの原因となった、劣化したダンパーゴムを交換します。
バネを支える突起部が折れています。
太めのワイヤーを用意します。
ワイヤーの径よりやや小さめの穴を開けて差し込みます。
化粧パネルを取り外します。裏面にはランプの光をセンサー等に導くプリズムが取り付けてありますので、誤作動防止のため曇った表面を磨きます。
左右リールを分解し、固まったグリスを除去清掃し再グリスします。
硬化しているピンチローラーを交換します。
動作状況を確認します。
モーター基板を取り外します。
固着しやすい箇所に注油します。
モーター基板です。液漏れが見られる電解コンデンサーを交換します。
新しいベルトを掛けて組み立てます。
本体に戻して動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視点検します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度が許容範囲内に収まっていることを確認します。
再生ヘッドのアジマスの調整を行います。
録音ヘッドも同様です。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。
