KENWOOD製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、KX-1100Gです。
最近入手されたということですが、大きく3点の不具合を抱えているということです。1点目はテープを痛めることがあるというものですが、おおむね原因は分かっていますので、動作テストは行いません。
2点目は、キャリブレーション時、ツマミをセンターにした状態では、バイアスもレベルも右CHが低い状況です。
ヘッドに錆が見られますので研磨します。
かなりの改善が見られました。ただし、古い機器では、各部の性能低下により、多少のバランスの狂いが生じますが、そういった時に備え、この機種では左右独立して調整できるような仕様となっています。
3点目は、ヘッドホンVOLがMIN状態でも音が出るということです。ガリは発生していませんが、VOLの劣化が原因です。本来は交換が望ましいところですが、同じVOLは入手できません。
カバーとフロントパネルを取り外します。
これは想定内ですが、バックテンションベルトが切れています。テープを痛めるのはこれが原因です。
メカを降ろします。
ベルトが溶けて絡みついていますので、除去清掃します。
カセットの検出スイッチの接点を磨きます。
コントロールモーターユニットを取り外します。
酸化している接点を磨きます。
コントロールモーターとリールモーターを無負荷状態で長時間動作させ、内部接点の接触改善を図ります。
キャプスタンベルトを交換します。
新しいベルトを掛けます。
本体に戻して動作確認を行います。
今回は、電解コンデンサー全交換も行います。ドルビー基板(1)、
ドルビー基板(2)、ここまでは、基板がソケット式になっていて簡単に脱着できますので、それほど難しくありません。
それ以外は、本体を分解しなければ基板の半田面にアクセスできません。
録音基板です。先ほどとは異なり、ソケットではなくメイン基板に直付けですので、一旦半田を除去して基板を取り外し、コンデンサーを交換します。
再生基板も同様です。
メータアンプも同様です。
ディスプレ基板にも2ケあります。
ストップボタンを取り外すと、ディスプレイ基板を固定しているビスにアクセスできます。
ディスプレイ基板を取り外し、電解コンデンサーを交換します。
VOL基板も脱着して4ケ交換します。
電源関係、
オーディオ関係、
マイクアンプ等、すべて交換します。
正確な数は数えていませんが、100ケ近く交換しました。
動作確認を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
キャリブレーション後のバランスの点検を行います。
録再テストを経て、修理完了です。