KENWOOD製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、KX-1100Gです。
昨日の880GRと同じお客様から、こちらも調整のご依頼です。特に、LCHのバイアスキャリブレーションに難があるということです。デッキを2段に積んでいるのは理由があります。
早速バイアスキャリブレーションを試します。左写真は調整後のツマミの位置ですが、左右でかなりの差があります。
バイアスの基板上での調整は、後部のツマミを回して行いますが、こういった箇所はそうそう狂わない箇所ですので、ちょっと気になります。
試しに、315、1000、10000、12500Hzの信号が記録されたテープを再生してみると、LCHの高域が減衰していることがわかりました。これが不具合の原因です。おそらく再生ヘッドの劣化です。早速オーナー様にその旨知らせしましたが、結論としては、ほぼ予定どおり、テープ速度、ヘッドアジマス、再生バランス、録音バランス、バイアス調整を行うこととなりました。ただし、録再同時モニターができないことから、ちょっと厄介です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
PB-LEVELの調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。左右の周波数特性が異なるため、バランスが狂います。
録音の調整が大変です。1100Gで録音したテープを調整済みの880GRで再生し、状況を確認します。
周波数特性を点検し、バイアスの掛かり具合のバランス調整を行います。
315Hzの信号を録音し、録音バランスの調整を行います。
以上作業完了です。周波数特性やバイアスキャリブレーションなどを気にしなければ、十分通常の使用に耐えるレベルではないでしょうか。