Victor製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V711の修理依頼をいただきました。
整備済み品として購入されたものの、十数分ほど使用したところ動作不良に至ったということです。
再生を開始すると、キャプスタンでテープは送られて音は出ますが、右側のリールが回転しません。
そのため、テープが写真のように引き出されてしまいます。
早送りと巻き戻しは正常です。
カバーを取り外します。
ここで、今回の故障とは直接は関係ありませんが、問題点を見つけました。トレイ開閉を検知するスイッチ接点が半田でショートされています。もちろん人為的なものと思われます。
半田を除去します。なぜ、このような処置がされていたかはわかります。修理中にスイッチ接点を変形させてしまい、うまく動作しないため、対処療法として行われたと考えられます。この機器を以前修理された方は、ビクターの機器にはあまり詳しくなかったようです。
参考までに、このスイッチは、カセットが挿入されたことを検知するとともに、たるみ防止機構を動作させるためのものです。
メカを降ろします。
再生専用のアイドラーにキャプスタンの回転を伝達するためのローラー(写真中央のアイボリー色の部品)が奥側に移動しています。これではローラーとアイドラーが接触できません。
キャプスタンモーターの基板を取り外します。基板面の電解コンデンサーは交換済みです。
向かって右側のフライホイールを引き抜きます。右写真中央に写っているのがローラーです。
ローラーは、このようにキャプスタンに差し込まれているのですが、
プラスチックが経年劣化して割れているため、空回りしてしまいます。
シリコンゴム製の代用品と交換しました。
本体に組み込んで動作確認を行います。
録音状況も確認します。
以上、修理完了です。