Victor製３ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V711の修理依頼をいただきました。
テープの走行不良ということです。
テープをセットして再生を開始します。
右側のリールの回転が不安定です。
カバーと底板を取り外します。
メカを取り出しました。右写真の黒色の円形のパーツは、再生時にリールを回転させるためのアイドラーですが、潤滑油のようなもので表面が濡れています。それでスリップして上手くリールが回転できなかったようです。
アルコールで脱脂します。
表面が乾いた状態になったのがわかると思います。
このメカでは必ず点検しなければならないことがあります。メカ背面からモーターユニットを取り出します。
やはりギヤが割れています。これはTDシリーズ定番の故障です。
代替ギヤと交換します。
もう片方のギヤは割れていませんが、予防措置として交換します。
背面のモーター基板を取り外します。
電解コンデンサーを交換します。
表面が劣化してスベスベになったベルトを交換します。
ピンチローラーとヘッドを専用クリーナーで清掃します。
メカを本体に戻して動作確認を行います。頭出しが上手くいかないというお話をいただいていましたので、市販のミュージックテープと、同梱いただいたお客様のテープで問題がないことを確認します。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。クオーツロック機は調整はできませんが、まったく問題はありません。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録再状況を確認し、修理完了です。
