A&D社製GX-Z9100の修理依頼をいただきました。今回は盛りだくさんです。
最近になって、有名店での整備済み品ということで入手されたそうですが、何点か不具合を抱えていたということで当店の出番となりました。
最初は外装です。これはよく見られますが、サイドウッドを固定するビスの化粧ワッシャーが両側1箇所ずつ破損しています。後ほどスペアと交換します。
2点目です。テープポジション表示です。常時クロム(CrO2)が点灯しているため、ノーマルテープをセットすると、写真のように(NORMCro2)のように表示されます。
回路図で確認すると、コントロール基板のこのトランジスタが関係しているようです。
トランジスタチェッカーでは異状は確認できませんでしたが、念のため交換しました。ビンゴでした。
3点目です。左CHのメーターが振れません。ただし、音は出ています。たまに振れることがありますので、接触不良と思われます。
メーターの信号に関係するケーブルを揺すっても改善されません。
あれこれと探しましたが、結局、キャリブレーションスイッチの接触不良でした。接点復活剤を処置します。
4点目、これが一番の問題です。テープ終盤になると音揺れが発生します。このメカで音揺れというと、バックテンションの問題です。
化粧パネルを取り外します。
硬化して摩擦力が大きくなったパッドを張り替えます。
大幅な改善が見られました。
5点目です。再生を開始すると、ギューという音が鳴ります。
アイドラーゴムにOリングが使用されていてスリップしていました。角ゴムの新品と交換します。
異音は解消されました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の点検を行います。313.7~314.4Hzの間を行ったり来たりと、振れ幅が0.7Hzほどあります。何か問題があるようですが、キャプスタンベルトでしょうか?
結局メカを降ろすことになりました。
背面のモーター基板を取り外します。
ついでですので、モードベルトも交換します。
ベルトを当店オリジナルの国内生産品と交換します。
オートセレクタ用スイッチ接点を磨きます。
速度が少しアップするとともに、振れ幅も0.2Hz程度まで減少しました。元々きつめのベルトが取り付けられていたため、回転が不安定だったようです。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーション後に録再バランス調整を行います。
録再テストを行います。
化粧ワッシャーを交換します。
以上、修理完了です。