以前からお取引いただいている方から、新たなご依頼をいただきました。
TEACのA-3という機種ですが、当時のカタログにも載っていない限定品ということです。もちろん修理に必要な資料は入手できませんので、ダメ元でよければということでお預かりしました。
動作確認を行います。再生ボタンにはまったく反応がありません。早送り巻き戻しは、一瞬動作しそうですが、即停止します。
これは困りました。再生ボタンにまったく反応が無いということは、回路の故障の可能性大ですが、回路図はありませんのでピンチです。
どこかの接触不良という可能性もありますので、いろいろと試しましたがダメです。タイマーONでの動作も試しましたが、状況は変わりません。
何か手掛かりは無いか?と思い、ネットで色々と検索していたところ、突然、「ガチャ」という音が聞こえました。タイマーのセットが遅れて作動したようです。
?と思い、再生ボタンを押すとヘッドが上がるようになっていました。もちらんリールが回りませんので、すぐに元に戻ってしまいますが、これで可能性が広がりました。なお、電源を一旦切ると、元の状態に戻ってしまいますが、3分ほど経過すると反応するようになります。ということは、ミュート回路の不具合が原因と考えられます。
この機種は、C-3というモデルの2ヘッド版のようですので、C-3のサービスマニュアルを確認します。すると、コントロール回路はほぼ同一であることが判明しました。
ダイアグラムを見ると、オーディオ基板のミュート回路からコントロール基板に接続しているNo.6のケーブルが、コントロール基板の動作をミュートしているようです。
試しに、そのミュートラインを切断してみました。
ミュート動作はしなくなりましたが、電源ON後にすぐ再生可能になりました。ただし、オーディオ基板はC-3とは全く異なりますので、肝心のミュート回路を修理できる可能性は不明ですが、この状態でも使用には差し支えないため、その旨オーナー様とご相談したところ、このまま整備を進めるということとなりました。
それでもやはり気になりましたので、回路図はありませんが、修理にトライしてみることにしました。不具合の発生に時間の経過が関連するときは、電解コンデンサーの劣化が疑われます。
当てずっぽうですが、先ほどのNo.6のケーブルが接続されている周辺の電解コンデンサー(赤色のマーキングしているもの)を交換したところ、見事ビンゴでした。コンデンサーの容量抜けが原因だったようです。
切断したケーブルを補修します。
ようやくメカの整備に移れます。写真ではフロントパネルを取り外していますが、その必要はありませんでした。
化粧パネルとホルダーを取り外します。
ピンチローラーは状態は悪くありませんでしたが、せっかくですので交換します。径12.5mmですが、入手できる13mmのものと交換します。しかし、これが後ほど判断ミスとわかりました。
リールをグリスアップし、アイドラーゴムを交換します。
背面のモータープレートを取り外します。
ベルトは溶け切れていました。
フライホイールを脱着して清掃し、キャプスタンベルト(折長100mm)とリールベルト(折長90mm)を交換します。写真はリールベルトの新旧です。
カウンターベルト(折長110mm)も交換します。
メカを元通り組み立てて本体に戻し、動作確認を行います。スイッチ類の接触不良が見られましたので、接点復活剤を処置します。
ここで問題が発生しました。ポーズボタンを押すと、普通はヘッドとピンチローラーが少し上に移動して待機状態になるのですが、ピンチローラーがキャプスタンに接触してしまい、右側のリールは停止しているのにどんどんテープが送られて、弛んでしまいます。
原因はこれでした。たった0.5mm(半径で言うと0.25mm)の違いでキャプスタンに接触していました。再度メカを降ろして交換しました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度の調整を行います。
ヘッドアジマスの調整を行います。
テープポジション別に肋鎖バランス調整を行います。
録音状況を確認し、修理完了です。



































