少し前に当店でDATデッキを修理された方から、カセットデッキのご依頼をいただきました。
ナカミチの高級機、CR-70です。
電源を入れるとSTOPボタンの上にランプが点灯するはずですが、消灯しています。
操作を受け付けません。コントロールモーターの不具合でしょうか?
カバーを開けて、コントロールモーターのシャフトを突つきましたが、固着はしていないようです。
メカを降ろします。バックテンションベルトが切れていますので、後ほど処置します。
コントロールモーターユニットを取り出して、スイッチ接点を磨き、元通り本体に戻しましたが、状況は変わりませんでした。
回路図を見ると、この辺りがコントロールモーターのドライブ回路です。ところが、テスターを当てて電圧等を点検している最中のことですが、
消灯していたランプが点灯し、動作するようになりました。ということは、どこかに接触不良が起きているということになります。そこで、コネクタを揺すったり、基板を指で押したりすると、先ほどのSTOPランプが一瞬暗くなりました。
写真は処置後ですが、ちょうどボタン電池の辺りを強く押すと、ランプが消えることがありました。
最初から気になっていましたが、ボタン電池が液漏れしています。
取り外して点検を行いましたが、液漏れによる周辺の断線はありませんでした。しかし、液漏れによって要らぬところが導通していた可能性はあります。
アルコールで清掃し、新しい電池を取り付けます。
その後、3日ほど様子を見ましたが、不具合は再発しませんでしたので、メカのメンテナンスに移ります。
メカ向かって右に装備されているのは、アジマス調整ユニットです。そのモーターを取り外してシャフト部に注油するとともに、直接電圧を印加して長時間空転させます。
リミットスイッチの接点を磨きます。
カセットホルダーを取り外します。
トレイ開閉を検知するスイッチ接点を磨きます。
コントロールモーターユニットを取り出します。
トラブルの起きやすいモーターですので代替品と交換します。
キャプスタンモーターユニットを取り外してリールモーターを取り出します。
モーターを分解して接点を磨きます。
シャフト部にグリスアップして組み付け、慣らし運転を行います。
キャプスタン部を清掃して注油し、ベルトを交換します。
バックテンションベルトを取り付けます。
切れているムギ球を交換します。
本体に仮接続して動作確認を行います。
本体に組み込んで動作を確認します。しかし、一旦電源を切った後に、操作不能状態が再発してしまいました。
この辺りに触れると正常に戻ります。ただし、このコネクタを揺すっても不具合は起こりません。
この辺りを強めに叩くとストップボタンのランプがちらつきます。
無いとは思いましたが、先ほどのコネクタの半田部を点検してみると、半田クラックが発生していました。これは予想外です。なぜなら、クラックが発生する理由が無いからです。通常は、繰り返し応力が加わる箇所に発生しますが、ここはそうではありません。ただし、この機体は修理歴があるようですので、コネクタを揺するなど人為的な原因があった可能性があります。
ちなみに半田クラックが発生していたのは、操作パネルへのアースラインでしたので、「ランプが消える。操作不能」という症状とマッチしています。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し、速度を調整します。
調整ツマミがセンターの位置でアジマスを合わせます。
録音ヘッドのアジマスの調整を行います。
オートキャリブレーション後の録再バランスを確認します。
録音状況を耳で確かめて、修理完了とします。

















































