前回のDATデッキに引き続き、今回はカセットデッキの楽しさ、楽しみ方についてです。
カセットデッキもテープメディアを使用しますので、DATデッキが長時間録音に適しているということを除き、DATと基本的な使われ方、楽しみ方といった部分では同様ですが、DATには無い、カセットテープならではの楽しさ、楽しみ方があります。
デジタルオーディオが普及する前のカセットテープ全盛の時代では、アナログレコードの音質を目標に各社競って高音質化を目指していました。ワウフラッター、周波数特性、S/N比などにおいて圧倒的に不利な規格のカセットテープで、いかにSOURCEと同等の音質を再現するかということが命題でした。
実際に、デッキとテープの高性能化に伴い、カセットテープでも原音に匹敵する音質に到達したのは事実ですし、デジタルの高音質に馴れた現在でも十分に通じるレベルとなりました。
しかし、何といってもカセットデッキの楽しさというのは、「多彩な音色」ではないでしょうか。これまで数えきれないくらいの種類のカセットテープが発売され、それぞれにメーカーの工夫が凝らされていて、人の性格がひとりひとり違うのと同様、ひとつひとつのテープが個性的な音色を奏でます。
さらには、それを再生するデッキも1台1台個性を持っていて、その組み合わせやバイアス調整などによって、音色の種類は無限大に広がります。
オーディオ関連では、スピーカーもそれぞれ個性を持っていて、音の違いを楽しむことができますが、手軽に楽しめるという点ではやはりカセットテープには敵わないのではないでしょうか。
こういった理由から、まだまだカセットテープはオーディオファンの好奇心を満たすのに必要なアイテムと言えると思います。