本ブログでは初登場となるCT-970です。
1980年発売、そのときの価格が115,000円ですから超高級機です。この機種はこれまで２回ほど修理を行ったことがありますが、高音域改善のためのリボンセンダストヘッド、自動でバイアス調整を行う「AUTO BLE」を搭載していますので、当時のデッキの中で高音質を競っていたうちの１台であったのは間違いないでしょう。
トレイは電動で開きますが、なぜか閉めるときは手動です。デュアルキャプスタン３ヘッドですが、左側のキャプスタンが回転していません。ベルト切れでしようか。
カバーを開けましたが、これまで修理したCT-970とは異なっています。左が今回の機体のもの、右は以前修理したものです。メイン基板の形状が異なるのと、
メカに取り付けられている基板が明らかに違います。今回の機体のほうがケーブルがコンパクトにまとめられていますので、後期改良型なんでしょうね。それにしても同一機種でこれほど大幅に中身を見直すなんて、当時のオーディオへのメーカーの情熱が感じられます。
基板は片側がヒンジになっていて整備性は良いのですが、このケーブルの量にはうんざりします。この中からメカに繋がっているコネクタを外し、
メカは、フロントパネルを外した後、前部２、内部１、底部１本のビスを外すと簡単にとりだすことができます。以前修理した機体では、電源のケーブル２本がコネクタではない接続になっていて整備の邪魔でしたので、一旦切断し整備後に再接続したということがありましたが、この機体ではその必要はなく、完全に本体と切り離すことができます。
メカをひっくり返しました。キャプスタンベルトが完全に溶けてフライホイールにこびりついています。
フライホイールを外すには、そのバックプレートも外さなければなりませんが、基板やらポテンショメーターやらが邪魔しています。
まずは基板を外し、右側についている白い筒状のトレイのダンパーも外します。
ポテンショメーターも外します。マーキングの必要はありません。
これでようやくフライホイールが露出しました。
モーターの無い側にはワッシャーと板状のスプリングがありますのでキャプスタンを抜くときは注意します。
アルコールを浸み込ませたウエスで汚れを除去します。
綺麗になりましたが、手は真っ黒になりましたので、一旦休憩して手洗いを行います。そして、バックプレートなどを元通りに組み付けていきます。
次はリール周りです。中心にアイドラーが見えます。その両側には回転を検知するためのベルトがそれぞれ掛けられています。
アイドラゴムは、A&D用のものがそのまま使用できます。
リールに掛けられているベルトも代替品新品に交換します。
左右リールの下側にブレーキがあるのですが、スリップ気味で擦れる音が気になりますので交換します。
シリコンチューブを切断し弾力性のある接着剤で固定します。
メカを組み立てて本体に組み付けて動作テストを行いましたが、再生時に右側リールが回転しません。
メカの後部に取り付けられている基板のこの半固定抵抗を少し回転させると正常に動作するようになりました。このツマミとポテンショメーターが連動してメカをコントロールしています。
テープパス点検、ヘッドアジマスや録再調整を行い修理完了です。リボンセンダストヘッドの特性で高域が伸びた良好な音質です。
パネルやツマミもクリーニングして気分爽快です。
